この記事でわかること
- 香川県で実施された「建設リサイクル法一斉パトロール」の概要
- 建設リサイクル法の目的と不法投棄などの環境問題を防ぐ仕組み
- 複数省庁の連携による現場の安全性確保の取り組み
- 「優良な解体業者」を見極めるポイント
2026年10月20日、香川県内の解体現場など約140カ所で「建設リサイクル法一斉パトロール」が開始されました。初日の高松市では行政職員が現場を訪れ、廃材の分別状況や安全対策の確認・指導を行いました。
本記事では、パトロールの目的やリサイクルの実績、各省庁の合同点検を通じた安全管理の取り組みを紹介します。さらにその結果を踏まえた優良業者を見極めるポイントを専門的な視点からわかりやすく解説します。
ニュースの概要
- 場所:香川県
- 報道日:2026年10月20日
- 対象:香川県内の解体工事現場など約140カ所
- 事案:適切な分別や安全対策を実施しているかなどを確認する「建設リサイクル法一斉パトロール」が実施されました。
解体工事現場で廃材が正しく分別できているかなどを確認するパトロールが20日、香川県で行われました。毎年2回、全国一斉に行われている「建設リサイクル法一斉パトロール」です。20日は、高松市天神前で行われている解体工事現場を高松市の職員ら9人が訪れました。
引用:建設リサイクル法一斉パトロール 解体工事現場で廃材の分別や再資源化など確認 香川|KSB瀬戸内海放送
香川県内パトロールの実態
今回のニュースで報じられた香川県のパトロールは、2026年10月20日から28日の9日間、県内約140カ所の現場を対象に実施されます。
初日に行われた高松市の現場では、市の職員らがコンクリートや木材などの分別・再資源化状況を確認のうえ、工事責任者へ啓発チラシを手渡しました。建築指導課の担当者は「施行から年月が経ち、分別作業は現場の基本として定着している」と、作業員の意識向上を前向きに評価しています。
一方で、前回(2026年6月)の合同パトロールでは、県内76現場のうち11件で行政指導が行われました。その大半は「登録標識の未掲示」など手続き上の不備です。
中野達也
廃材の分別作業が現場に根付く半面、看板掲示や書類整備など「見落としがちな手続き」に対し行政が継続的に指導を行うことで、県内の適正な解体環境が守られています。
参考:令和8年6月度・建設リサイクル法の一斉パトロール結果について|香川県
建設リサイクル法全国一斉パトロールの目的
一斉パトロールは、香川県に限ったものではなく、毎年6月と10月に全国の行政庁が実施している広域的な監視活動です。
建設リサイクル法などの違反がないか解体工事現場などをパトロールし、法令の遵守状況を確認しています。
目的は解体業者を厳しく取り締まることだけではなく、国が推進する「3R(リデュース・リユース・リサイクル)」を定着させるための啓発活動でもあります。
出典:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)
第一条 この法律は、特定の建設資材について、その分別解体等及び再資源化等を促進するための措置を講ずるとともに、解体工事業者について登録制度を実施すること等により、再生資源の十分な利用及び廃棄物の減量等を通じて、資源の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図り、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
引用:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律|e-Gov法令検索
不法投棄を防ぎ、資源循環を支える行政の取り組み
日本で排出される産業廃棄物のうち、建設業に由来するものは約2割(令和5年度実績で21.8%)を占めています。

画像引用:産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度実績)について|環境省
もし解体現場でコンクリートや木材がごちゃ混ぜにされてしまうと、リサイクル施設での処理が困難になり、最終処分場の不足や、山林への不法投棄といった環境問題を引き起こす要因になりかねません。
行政が定期的に現場で直接指導を行うことで、現場の作業員にも「正しい分別」の意識が定着します。
平成14年の10月から開始されたこのパトロールの成果もあり、最新の公表実績である平成30年度調査では、コンクリート塊の再資源化率は99.3%、アスファルト・コンクリート塊は99.5%でした。令和6年度調査でも、達成基準は両品目とも99%以上です。

画像引用:令和6年度建設副産物実態調査|国土交通省
依頼主や近隣住民にもたらすメリット
行政による現場監視は、環境保全だけでなく、解体工事の依頼主や現場周辺にお住まいの方々にとってもメリットがあります。
「自分の依頼した工事でトラブルが起きないか」「近所の解体工事で有害物質が飛散しないか」などの不安に対し、行政の目が光っていることはトラブルを未然に防ぐ強力な抑止力になります。
アスベスト対策や現場の安全を守る「合同点検」の仕組み
このパトロールの大きな特徴は、建設部局単独ではなく、国の関係省庁や都道府県の関係部局が連携した合同立ち入り体制をとっている点です。
解体現場には、廃棄物の処理だけでなく、有害物質や労働安全など、多様なリスクが潜んでいるため、各分野の専門機関が多角的にチェックを行います。
【一斉パトロールの主な確認体制】
| 担当機関 | 主なチェック項目 | 守られる安心・メリット |
|---|---|---|
| 建設部局 | 廃材の分別状況、許可・登録標識の掲示、事前届出の有無 | 不法投棄の防止、無許可業者による違法工事の排除 |
| 環境部局 | アスベスト事前調査結果の掲示、フロン類の適切な回収 | 有害物質の飛散・大気放出の防止、近隣住民の健康保護 |
| 労働基準監督署 | 高所作業の安全設備、石綿飛散防止措置の徹底 | 現場作業員の労働災害防止、安全な施工環境の維持 |
| 入管庁 | 外国人労働者の就労資格照合、在留カードの確認 | 不法就労の防止、現場の適正な労務管理・治安維持 |
参考:建設リサイクル全国一斉パトロールを実施します~10月は3R(リデュース・リユース・リサイクル)推進月間です~|国土交通省
参考:建設リサイクル法に係る全国一斉パトロールの実施 ~現場における適切な分別解体、再資源化の徹底に向けて~|環境省
中野達也
複数の法律に基づいた確認で、アスベストの飛散リスクなど現場の安全が管理され、工事を安心して見守りやすくなります。
まとめ
今回は香川県で行われた「建設リサイクル法一斉パトロール」について解説しました。
過去のパトロール実績(2024年度・令和6年度)を見ると、資材の分別自体ができていないケースはごくわずか(全体の約5%)である一方、指導の8割以上が「標識掲示の不備」や「アスベスト事前調査結果の掲示漏れ」といった手続き・書類上の不備に集中しています。
中野達也
現場の作業だけでなく、法律で定められた手続きや情報公開をきっちり行える業者かどうかが、優良業者を見極める重要なポイントになります。
行政による定期的なパトロールは解体業界全体の質を底上げしていますが、すべての現場を毎日監視できるわけではありません。そのため、工事の依頼主自身も、トラブルを防ぐために「適正な業者」を見極める視点を持つことが大切です。






