「思い出が詰まった実家を壊したくない」「将来、親族が住むかもしれない」といった理由から、空き家を解体せずに「残す(保有する)」という選択をする方は少なくありません。
しかし、空き家を健全な状態で維持するには、想像以上の手間とコストがかかります。本記事では、空き家を適切に管理するための具体的な方法や、保有し続ける際にかかる費用などを解説します。
空き家を残し続ける主な理由
国土交通省の「令和元年 空き家所有者実態調査」によると、空き家をそのまま保有し続けている理由として最も多いのは「物置として必要(60.3%)」です。半数以上の方が、家財道具や思い出の品の保管場所として空き家を活用している実態があります。
物置としての利用以外にも、「解体費用をかけたくない(46.9%)」「さら地にしても使い道がない(36.7%)」などの理由があります。
いずれの理由にせよ、空き家をそのまま保有し続ける場合は、建物の老朽化を防ぐための定期的なメンテナンスが欠かせません。
空き家の維持にかかる年間コストの目安
空き家は所有しているだけで、一般的に年間数十万円の維持費が発生し続けます。これらが毎年の負担として妥当か、将来的な総額と比較して検討する必要があります。
主な空き家の維持コストには、以下のようなものがあります。
公租公課(固定資産税・都市計画税)
空き家を所有している限り、毎年必ず納税義務が発生します。固定資産税の標準税率は1.4%、都市計画税は市街化区域内の土地に対して一般的に0.3%(自治体により異なる)が課されます。
たとえば評価額が1,000万円の建物を想定すると、固定資産税は年間約14万円、都市計画税は年間約3万円となり、合計で年間約17万円程度の税負担が発生します。
なお、住宅用地には税額を軽減する特例がありますが、自治体から「特定空き家」に指定され改善勧告を受けるとこの優遇措置の対象外となる可能性があります。
「特定空き家」については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
保険料(火災保険・地震保険)
空き家は放火・盗難・不法侵入などのリスクが高いため、火災保険や地震保険による備えが重要です。
保険料は補償内容によって異なりますが、年間数万円~数十万円が一般的です。
ライフラインの基本料金
空き家の定期的な清掃や通水を行う場合、水道や電気の契約を継続しておく必要があります。
そのため、実際に水道や電気を使用していなくても、年間数千円~数万円の基本料金が発生します。
建物の修繕および環境整備費
空き家の雨漏り・外壁の補修・塀の傾きの修正などを業者に依頼する場合、修繕費は数万円~数百万円に及びます。
また、近隣トラブルを防ぐために庭木の剪定や草刈りなどの管理も不可欠であり、業者に依頼すると年間5万円~10万円程度を要するケースも少なくありません。
空き家の適切な管理方法
建物は人が住まなくなると湿気がこもり、急速に劣化が進みます。空き家の資産価値を大きく下げないためにも、以下の管理を月1回以上のペースで行うことが大切です。
- 通気・換気:全室の窓や押し入れを開け、空き家全体の空気を入れ替えます。
- 排水設備の通水:各所の蛇口から数分間水を流し、排水トラップに水を満たします。
- 敷地内の清掃・除草:ゴミの散乱を防ぎ、庭木の剪定や草刈りを行って景観を保ちます。
- 郵便物の確認・整理:ポストに郵便物を溜めないようにして、防犯性を高めます。
また、空き家の状況や地域によっては、上記の基本管理に加えて追加の対策が必要になる場合があります。
たとえば、雪の多い地域や寒冷地の空き家では冬に向けた準備が欠かせません。給排水管の破裂を防ぐために元栓を閉めて水抜きを行うほか、積雪による空き家の損傷を防ぐために定期的な雪下ろしを計画しておくと安心です。
さらに敷地に擁壁がある場合は、「水抜き穴」の清掃も重要な管理項目です。穴が泥やゴミで詰まると背面の水圧が高まり、擁壁の崩壊や土砂崩れにつながる恐れがあります。定期的に詰まりを取り除き、安全な状態を保つようにしましょう。
遠方に住んでいて自身での管理が難しい場合は、月額数千円〜1万円程度で「空き家管理サービス」を利用するのも一つの方法です。
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