飲食店の解体費用や工事の流れについて

飲食店内のカウンター

飲食店の解体は、店舗ごとに「内装解体」「スケルトン解体」「原状回復」といった工事の内容や範囲が異なります。

また、返却時の使用状況によって追加で工事が発生する場合や、飲食店ならではの事情によって費用や工期が変動することも珍しくありません。

店舗側と管理者とで連携を取り合ったり、物件の返却期限が定められていたりする性質上、スケジュールに余裕を持って行動することも求められます。

スムーズな引き渡しのためには、飲食店の解体について大まかな概要や流れを知っておくことが大切です。

店じまいや移転に伴い飲食店の解体をお考えの方は、本記事を参考になさってください。

飲食店の解体にかかる費用

飲食店解体の事例1

ビルの2階に入っている、イタリアンバルの閉店に伴う内装解体の見積り事例です。

現場の裏にはアパートがあるため、近隣対応や挨拶、工程表の配布をお施主様よりお願いされていました。

また、現場の下の階には美容室が入っているため、騒音や振動の発生する作業は美容室の定休日に行いました。

場所 東京都世田谷区
構造 木造
広さ 15坪
工事の種類 内装解体
工事期間 5日間
総額 699,000円
項目 数量 単位 単価 金額
1.解体撤去処分工事
カウンター撤去 1 50,000円 50,000円
造付け什器 棚撤去 1 各所 50,000円 50,000円
床 CF、防水 剥がし(下地残し残らない場合) 50 2,300円 115,000円
天井照明レール撤去及ファン撤去(別途費用かかります) 1 3,000円 3,000円
ソファー撤去 1 15,000円 15,000円
カーテンレール撤去 1 各所 1,500円 1,500円
窓飾り枠撤去 1 5,000円 5,000円
厨房フード撤去 1 箇所 15,000円 15,000円
床 配管上げ床撤去 1 6,000円 6,000円
給湯器撤去 1 箇所 10,000円 10,000円
手洗い洗面器撤去 1 箇所 3,000円 3,000円
各所 設備メクラカップ止め 1 35,000円 35,000円
2次側ガス配管撤去(同上)
2.発生材積込運搬処分工事
残材積込費(階段出し)(養生共) 14 5,000円 70,000円
発生材運搬費(2tD) 3 18,000円 54,000円
発生材処理費(混合) 14 14,500円 203,000円
※別途事項
残置物処理 厨房器具処理
床下地撤去 トイレ撤去
諸費用 63,550円
値引き -50円
小計 635,500円
消費税
合計金額 699,000円

飲食店解体の事例2

路面にあるカフェの閉店に伴う原状回復です。

店舗の外にある造作物の撤去や補修も、工事の内容に含まれています。

場所 東京都世田谷区
構造 -
広さ 18坪
工事の種類 原状回復
工事期間 17日間
総額 894,883円
項目 数量 単位 単価 金額
間仕切造作壁解体 32.3 2,000円 64,600円
壁廻り内周フカシ壁解体 64.3 1,500円 96,450円
店舗正面入口ドア及びガラスサッシ壁解体 22.4 2,500円 56,000円
厨房及びトイレ部天井解体 18.9 1,200円 22,680円
外部煉瓦タイル土間斫り、解体 10.7 4,000円 42,800円
カウンター、棚、収納等造り付け造作物解体 1 30,000円
外部オープニングテント分解、撤去(2箇所) 1 25,000円
外部ポール支柱サイン 切断撤去(埋設部基礎残し) 1 15,000円
外部鉄柱看板 解体撤去(埋設部基礎残し) 1 40,000円
外部壁面看板 撤去(オーニング上部造作) 1 20,000円
同上作業用足場仮設、搬入費(ローリングタワー 材工) 1 8,000円
エアコン撤去処分(天カセ×2 天吊×1)(冷媒管含む) 1 45,000円
衛生器具撤去及び給排水管端末処理(便器洗面等)(端末キャップ止め) 1 15,000円
照明等器具及び電気2次配線処理、撤去(防災・分電盤残し) 1 22,000円
上記解体、撤去材搬出・積込費(店舗前駐車の上) 1 35,000円
同上産業廃棄物、処分費(9.1m³) 1 158,000円
同上産業廃棄物、運搬費(2tダンプ車) 3 16,000円 48,000円
各所コーキング、簡易塗装等補修、雑工事(近似色塗装 材工) 1 25,000円
消耗品、交通費等現場経費 1 45,000円
諸費用
値引き
小計 813,530円
消費税 81,353円
合計金額 894,883円

こちらの案件では、店内にある厨房機器や客席などは買い取りに向けてお施主さんのほうで動かれていましたが、買い取り先が見つからなかった場合のために原状回復とは別途で見積りを算出しています。

飲食店解体の事例3

焼肉バイキング店の閉店に伴うスケルトン工事です。

店舗が広いことに加え工事の内容も大規模なので、費用は高く工期も長めです。

場所 埼玉県川口市
構造 RC(鉄筋コンクリート)造
広さ 107.11坪
工事の種類 スケルトン
工事期間 1ヶ月間
総額 5,280,000円
項目 数量 単位 単価 金額
1.仮設工事
搬出用資材(台車類 グリーンバック) 1 50,000円 50,000円
工事用資材(電気工具 脚立 立馬など) 1 40,000円 40,000円
電気二次側切り離し(盤残し) 1 60,000円 60,000円
ガス切り離し(キャップ止め) 1 50,000円 50,000円
水道切り離し(キャップ止め) 1 30,000円 30,000円
養生(資材、施工費) 1 20,000円 20,000円
フロンガス回収 1 280,000円 280,000円
消耗品(刃 ガラ袋など) 1 50,000円 50,000円
暖房器具撤去 1 320,000円 320,000円
諸経費(現場管理費 交通費など含む) 1 120,000円 120,000円
2.内装解体工事
天井撤去(ボード 下地共) 328 1,200円 393,600円
天井設備撤去(電線撤去など) 328 800円 262,400円
床材撤去(上下 FL-300) 262 2,000円 524,000円
設備配管及びダクト撤去 1 120,000円 120,000円
造作物撤去 1 120,000円 120,000円
間仕切り壁撤去 1 80,000円 80,000円
トイレ撤去(男女共) 1 80,000円 80,000円
エアコン撤去 7 10,000円 70,000円
外周壁クロス剥がし 238 900円 214,200円
厨房土間斫り(FL-300 コンクリート200 スタイロ100) 56 8,000円 448,000円
シール剥がし 1 30,000円 30,000円
ベランダダクトファン撤去 1 60,000円 60,000円
ショーケース撤去 1 箇所 30,000円 30,000円
屋上室外機撤去 1 80,000円 80,000円
同上発生材小運搬費 64 5,000円 320,000円
3.産業廃棄物収集運搬処分
廃石膏ボード 7 24,000円 168,000円
廃プラスチック 8 20,000円 160,000円
木屑 15 6,000円 90,000円
混合廃棄物A 12 15,000円 180,000円
混合廃棄物B 9 24,000円 216,000円
コンガラ 13 8,000円 104,000円
ケイカル(アスベスト) 3 50,000円 150,000円
引き取り運賃(4t車) 8 24,000円 192,000円
諸費用
値引き -312,000円
小計 4,800,000円
消費税 480,000円
合計金額 5,280,000円

飲食店の解体費用が変動するケース

  • 周囲の店舗や状況により夜間や早朝に作業が必要な場合
  • コンクリートはつり工事が必要な場合
  • 無煙ロースターや排気ダクトが多く、複雑な構造になっている場合
  • 個室や小上がりなどがある飲食店の場合
  • 床タイルなどの老朽具合がひどく、作業に手間がかかる場合
  • アスベストが使用されている場合
  • 上階の飲食店でエレベーターが設置されていない場合
  • 作業現場の近くに車両の駐車スペースがない場合

飲食店の解体費用は、上記のような要因によって変動する場合があります。

どれも珍しいケースではなく、飲食店であれば該当する可能性の高い内容です。

ご自分の借りている物件に当てはまる条件がなさそうか、予めチェックしておきましょう。

飲食店の解体工事の工程

工程 内容
管理者との打ち合わせ 建物の管理者と、飲食店の解体工事の範囲や内容について打ち合わせを行います。
基本的には入居時に交わした契約書に沿って工事を行いますが、返却時の状況によって修正が入ることがあります。
また、次の入居者から「設備をそのまま使いたい」と申し出があった場合は、工事の範囲が少なくなるケースもあります。
残置物の撤去 工事が始まる前に、テーブル、椅子、厨房設備などを室内から撤去します。
すべて業者に撤去してもらうことも可能ですが、そのぶん「残置物撤去費」という項目が見積りに加算されます。
手間はかかりますが、ご自分で粗大ごみ等に出すほうが解体費用を抑えることができます。
ライフラインの停止 営業のために使用していた電気、ガス、インターネットなどのライフラインを停止します。
ただし、水道は工事中にも使う可能性があるので、業者さんに確認を取っておきましょう。
なお、ライフラインは建物側で管理している場合もあります。
店舗側が手続きを行うべきかどうか、まずは確認する必要があります。
養生 養生は、隣接するテナントに迷惑をかけないために必要な工程です。
機材の持ち運びで傷や汚れが付着しないよう、廊下やエレベーター内にも養生をすることが多いです。
養生は業者が行う作業ですので、店舗側で行う作業はとくにありません。
内装の撤去 準備が整ったら、内装の撤去が始まります。
内装の解体は基本的に手作業で行いますが、小型重機が入る場合もあります。
騒音や振動で他店舗の営業に支障をきたす場合など、夜間や早朝の作業が必要になるケースもあります。
床材の撤去 床材の撤去は不要な場合もあります。
必要な場合は床材の撤去を行いますが、業者が手作業で行います。
強力な接着剤で貼り付けられているケースが多く、下地も傷つけるわけにいかないため、慎重な作業となります。
清掃 工事がすべて終わったら、最後に掃除を行います。
大きなゴミはもちろん、工事中に発生した粉塵なども残らなように掃除する必要があります。
廊下やエレベーターなど共有部分も、責任を持ってキレイにしておくことが求められます。

解体工事そのものにかかる期間は、数日から数週間ほど。

とはいえ、管理者との打ち合わせや掃除など、工事前後の工程にも時間がかかります。

スムーズに引き渡しを終えるためには、余裕を持ったスケジューリングをする必要があるでしょう。

施工業者に対しては、最低でも2~3ヶ月前には「希望する時期に工事の依頼が可能加どうか?」といった旨の問い合わせの連絡を入れておきたいところです。

飲食店の解体に際して依頼主が準備しておくこと

手続き 内容
賃貸契約の解約依頼 まずは、賃貸契約を結んだ不動産屋に解約の申し出を行います。
なお、飲食店のテナント物件の場合は、個人住宅のようにすぐに解約ができません。
3~8ヶ月前には通知を出さなければならないケースも多いので、閉店や店じまいの検討段階で相談をしておく必要があります。
リース契約の解約 厨房機器などをリースしている場合は、解体が始まる前に返却を済ませておく必要があります。
支払いの締め日や閉店日との兼ね合いを考えて、解約の手続きを進めましょう。
ライフラインの停止 ライフラインの停止作業も、依頼主が行うケースが多いです。
水道や電気は工事中に使用する場合もあるので、施工業者が決まったら確認を取りましょう。
行政機関への届け出 解体に必要な手続きではありませんが、飲食店を解体する理由が「廃業」の場合、行政機関への届け出が必要です。
廃業に伴う届出は「保健所」「消防署」「警察署」「税務署」など、複数の機関で行います。
詳しい内容は割愛させていただきますが、各種届け出には提出期限が設けられているケースも多いです。
解体工事の最中に提出期限を迎える場合は、解体と同時進行で手続きを進める必要も出てくることを覚えておきましょう。

飲食店の解体費用や工事の流れについてのまとめ

飲食店の解体は、店舗ごとに金額や期間が様々です。

簡単な内装解体の場合、かかる費用は数十万円、工期は1週間以内で完了することもあります。

一方、大掛かりな原状回復やスケルトン解体の場合は、数百万円の費用が発生し、工期も1ヶ月近くかかる場合があります。

実際にどれくらいの費用や工期が必要になるかは、施工業者から見積りを取得するまで分かりません。

移転や店じまいを検討しはじめたら、解体に向けて早めに動き出しましょう。

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