家の敷地内にあるプレハブ工法の建物を撤去する場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?
この記事では、プレハブの解体費用相場と実例、特徴をご紹介します。
プレハブとは?
プレハブ工法のプレハブとは、pre-fabricatedの略称で、pre(事前に)fabricated(組み立てられた)という意味があります。
プレハブの建物の部品や骨組みは、事前に工場で組み立てられるため、建設現場での作業は骨組みにパネルをはめるだけで済むなど、工程が少なく済みます。
工場生産された安定した品質の建材で、建設現場ではほとんど組み立てるだけで完成できるのがプレハブ造建物の特徴です。
プレハブの解体費用に関わる特徴
プレハブの解体費用は、建物のつくりや材質、解体にかかる手間、解体現場の周辺環境などによって違いが出ます。
素材 | 解体費用の相場 |
---|---|
木質系 | 2万円~4万円/坪 |
鉄骨系 | 2万8,000円~8万円/坪 |
コンクリート系 | 3万5,000円~4万円/坪 |
プレハブの種類
プレハブ工法は、躯体の素材によって木質系、鉄骨系、コンクリート系の3種類に分類されます。
また、個々の部屋(ユニット)を工場で作り、現場ではクレーン車で下ろして設置するだけで完成するものを「ユニット系」と呼びます。
以下でプレハブの種類をそれぞれ見ていきましょう。
木質系プレハブ
工場で生産された木質パネルを現場で組み立て、「面」の力で建物を支える耐久性に優れた工法です。
パネルの内側に不燃建材の石膏ボードが使われることが多く、耐火性に優れています。
木質系プレハブの法定耐用年数は一般的な木造住宅と同じ15~24年です。
鉄骨系・鉄鋼系プレハブ
工場で軽量鉄骨の骨組みをつくり現場で組み立て、サイディングと呼ばれる外壁材を取り付ける工法です。
サイディングの素材は、金属製、木製、塩化ビニル樹脂製など様々です。
パネルが鉄骨のフレームに直接固定されることで全体が強化されるため、耐久性に優れています。
法定耐用年数は骨格材の肉厚によって異なり、15~38年です。
コンクリート系プレハブ
コンクリートパネルを工場で作成し、現場で組み立てる工法です。
壁・床・屋根など大部分がコンクリートでつくられているため、耐久性や耐火性に優れています。
法定耐用年数は、31~50年です。
ユニット系プレハブ
ユニット(箱型のフレームにセラミックなどのパネルを取り付けたもの)を工場でつくり、各ユニットを現場で組み立てるのがユニット系プレハブです。
キッチンセットや各居室など、各部屋の細かい建具や設備の設置も含め、ほぼ完成形までつくり込んでおくのが特徴です。
ユニットに用いる素材によって「木質系ユニット」「鉄骨系ユニット」などに分けられるため、耐久性や耐火性、耐用年数も素材に左右されます。
プレハブの解体費用相場は地域差がある
プレハブ解体は地域ごとに費用相場が違います。
当協会が運営する解体無料見積ガイドをご利用いただくことで、プレハブ解体の見積もり取得を最大6社の解体業者に無料で依頼できます。
以下の表は都道府県ごとの坪単価をまとめているので、解体するプレハブがどのくらいの坪単価になるか参考にしてください。
都道府県 | 解体費用の相場 |
---|---|
北海道 | 26,000~45,000円 |
青森県 | 22,000~45,000円 |
岩手県 | 24,000~45,000円 |
宮城県 | 26,000~52,000円 |
秋田県 | 28,000~48,000円 |
山形県 | 24,000~50,000円 |
福島県 | 23,000~48,000円 |
茨城県 | 25,000~48,000円 |
栃木県 | 26,000~54,000円 |
群馬県 | 23,000~45,000円 |
埼玉県 | 28,000~52,000円 |
千葉県 | 28,000~52,000円 |
東京都 | 30,000~65,000円 |
神奈川県 | 28,000~58,000円 |
新潟県 | 28,000~48,000円 |
富山県 | 28,000~55,000円 |
石川県 | 23,000~52,000円 |
福井県 | 23,000~55,000円 |
山梨県 | 28,000~55,000円 |
長野県 | 28,000~54,000円 |
岐阜県 | 23,000~50,000円 |
静岡県 | 25,000~50,000円 |
愛知県 | 23,000~48,000円 |
三重県 | 23,000~52,000円 |
滋賀県 | 26,000~52,000円 |
京都府 | 25,000~48,000円 |
大阪府 | 24,000~48,000円 |
兵庫県 | 26,000~52,000円 |
奈良県 | 24,000~48,000円 |
和歌山県 | 26,000~52,000円 |
鳥取県 | 28,000~62,000円 |
島根県 | 28,000~60,000円 |
岡山県 | 26,000~50,000円 |
広島県 | 23,000~48,000円 |
山口県 | 25,000~50,000円 |
徳島県 | 24,000~48,000円 |
香川県 | 24,000~48,000円 |
愛媛県 | 25,000~50,000円 |
高知県 | 24,000~42,000円 |
福岡県 | 23,000~42,000円 |
佐賀県 | 25,000~50,000円 |
長崎県 | 28,000~63,000円 |
熊本県 | 23,000~48,000円 |
大分県 | 23,000~48,000円 |
宮崎県 | 24,000~45,000円 |
鹿児島県 | 22,000~45,000円 |
沖縄県 | 25,000~50,000円 |
プレハブを解体する流れ
プレハブの解体手順は以下のとおりです。
解体業者を選ぶ
はじめに工事を依頼する解体業者を探しましょう。数社の業者を比べたうえで、電話での見積金額だけで判断せずに業者の対応を含めて判断することがポイントです。
近隣への挨拶
工事前に、近隣住民への挨拶を行います。工事により発生する騒音、振動、ほこり等による近隣トラブルを防ぐためです。挨拶は業者が行うことが一般的ですが、依頼主が同行するとより丁寧な印象を与えることができます。全ての近隣住民に漏れなく挨拶をするため、施工開始の10日〜1週間くらい前に挨拶まわりを始めましょう。
ライフラインの停止
工事の前に、電気、ガス、インターネットなどのライフラインの停止やケーブルなどの撤去の手続きが必要です。工事は建物だけではなく、設備の部分も撤去する必要があるためです。ライフライン停止の手続きは、工事開始の1週間前までには終えるようにしましょう。水道は工事中に使用するため停止しない場合があります。
プレハブ本体の解体
- 室内に残されたものを搬出する
- 屋根を撤去する
- 壁を撤去する
- 床面を撤去する
- 基礎を撤去する
プレハブの建物は、骨組みに個々のパネルをはめ込むように組まれています。解体作業はパネルを一つ一つ取り外すように行い、簡単なものであれば1日で解体工事は完了します。
地中物の確認と整地
工事終了後、地中にコンクリートや廃材、大きな石といった障害物が残っていないかを確認します。障害物を取り除いた後に土をならして平らな状態にする整地を行い、工事が完了します。
プレハブの解体工事実例
ここからは、実際のプレハブ工法の建物解体の見積書を見てみましょう。
見積書は、解体業者が建物の構造や大きさ、周辺環境などを現地調査でくまなくチェックし、工事で出る廃棄物の量なども見込んで、作成しています。
事例1 千葉県四街道市のプレハブ造家屋(12坪)
ユニット系のプレハブ小屋
事例1では、写真にあるユニット系のプレハブ小屋の他に、いくつか解体する建物がありました。プレハブ小屋の解体に関わる項目だけ抜き出してみましょう。
以上の項目を単純に足し合わせると、工事金額は42万3,108円です。
ただし、仮設養生費や諸経費などは、プレハブ小屋の他に解体する建物の分も含めての料金なので、実際はもう少し安くなります。
また、工事金額には最終的に消費税分が上乗せされて合計金額となるので、頭に入れておきましょう。
黄色で記した項目がプレハブ小屋本体のみの解体・処分費用で、計30万6,018円です。
その他の項目についても簡単に見てみましょう。
- 書類作成・提出代行
解体工事をする際は、自治体に各種届出をする必要があります。解体業者に代行をお願いすると費用がかかります。
- 仮設養生工
周囲に埃や騒音が漏れないよう、養生シートを張った場合にかかる料金です。
- 井戸ポンプ・埋設浄化槽
プレハブ小屋で水道を使っていた場合、井戸や浄化槽の撤去が必要です。
- 重機回送
工事で使用する重機は、道を自走できないのでトラックで現場まで運ばれます。現場まで行く分と、現場から引き上げる分で「2回」となっています。
- 諸経費
その他に細々とかかる費用を「諸経費」としてまとめてあります。
- 有価物
事例1の見積もりでは、解体で出る鉄くずなどの中に、買い取ってもらえるものがあるとして、費用から差し引かれています。
事例1のプレハブ小屋はユニット系だったため、解体にかかる費用は比較的安く済んでいます。ただ、コンクリートブロックの基礎を撤去するのに10万円弱かかっていますね。
事例2 千葉県船橋市のプレハブ造建屋(9坪)
木質系のプレハブ倉庫
事例2のプレハブ小屋は、昔ながらの倉庫ですね。木質系プレハブの倉庫で、写真から布基礎で支えられている様子が見て取れます。
上の見積書はプレハブ小屋のみのものなので、税込みの合計金額がわかります。見積書の左上に59万8,000円と書かれていますね。
黄色で記した項目がプレハブ倉庫本体のみの解体・処分費用で、計14万7,474円です。
その他の項目については事例1と同じものが多いので、ここでは2点だけ確認しましょう。
- 室内外残置物
解体工事の現場に残っている不用品を「残置物」と呼びます。室内外にある不用品を撤去する場合、費用がかかります。
- 車両限定 特別割増
事例2では何らかの事情で、いつも使うものではない車両が使われたか、車両を使うためにスケジュール調整が必要になったようです。ごく稀にですが、このような割増料金が発生するケースがあります。疑問に思う項目があった場合は、必ず解体業者に確認しましょう。
事例2では基礎の撤去は行わなかったようです。
土間コンクリートを使用した基礎の撤去は、コンクリートブロックの撤去よりも大変です。解体・処分に20万円~費用がかかると見てよいでしょう。
プレハブの解体費用がかさむのはどんなとき?
プレハブの建物の条件によっては、さらに費用がかさんでしまうケースもあります。ここからは、プレハブの解体工事において費用がかかるポイントを説明します。
建物内外に残置物が多い場合
解体したい建物内に残置物がたくさんあると、事例2でも見たように、撤去・処分費用がプラスでかかります。
事例2では建物の外にも不用品がありました。「室内外残置物」の撤去・処分費用として14万円以上もかかっています。
残置物の撤去にもそれなりの費用がかかるので、事前に処分しておくとよいでしょう。
特に捨てておくべきものは、衣服やシーツなどの布製品、食器や花瓶などの陶器類などです。
布製品や陶器類、また、倉庫の中身などの雑多な不用品は、解体業者が処分しようとすると費用が特に高額になってしまいます。
ただし、木片や鉄くずなどはリサイクルできるため、比較的安く処理できます。
そのため、中身が空っぽの木製の棚や金属の棚であれば、処分費用も安くなりますし、解体業者によってはサービスで引き取ってくれる場合もあります。
ですから、建物内の特に棚の中身などは極力捨てておくと解体費用の節約になるでしょう。
プレハブのつくりが頑丈な場合
プレハブの建物は固定されている部分がうまく外れれば、比較的簡単に解体できます。
しかし、「普通はボルトで固定してある部分が釘で打ち付けてある」「頑丈な建材だったため、専用工具で切断しないとトラックに乗らない」など、つくりが頑丈だと解体に手間がかかります。
1日で終わる予定の工事が2日かかるなど、手間がかかるとその分人件費などがプラスでかかります。
プレハブの基礎が頑丈な場合
プレハブ造の建物は、簡易的なものであれば、コンクリートブロックの上に乗っていたり、基礎がないケースも多く見られます。
しかし鉄骨系やコンクリート系のプレハブ小屋などは、基礎にコンクリートが敷かれている場合もあります。頑丈な基礎の解体にも手間がかかるため、費用がかさみます。
プレハブの周辺に十分なスペースがない場合
建物の解体工事をする際、ショベルカーなどの重機が使用できれば、手作業で壊していくよりも早く、人手も少なく済みます。しかし、プレハブ小屋は狭いスペースに建てられているケースが多いため、重機が入っていけません。
すると、手作業で解体し、発生した廃材を遠くに停めたトラックまで運ぶなど、手間がかかる作業が増え、費用がかさんでしまいます。
プレハブにアスベストが使用されている場合
アスベスト含有製品は段階的に規制されており、現在は製造、使用などが完全に禁止されています。しかし、完全に規制される前の2006年以前に建てられた建築物には、建材として使用されている可能性がかなり高いといえます。
プレハブにアスベストが使用されている場合は、資格をもつ解体業者による除去作業が必要になり、そのぶん費用がかかります。
解体無料見積ガイドでは、アスベストの調査・除去から解体工事まで一貫して対応できる優良な解体業者を紹介しています。
プレハブ解体のご相談は解体無料見積ガイドへ
プレハブの建物は、簡易的なものでもなかなかの解体費用がかかります。
見積金額は解体業者ごとに大きく違う場合もあるので、見積もりは必ず複数社から取り、工事内容や費用を見比べ依頼する解体業者を決定しましょう。
解体無料見積ガイドがご紹介する認定解体業者は、現地調査の上での見積もりに責任を持ち、不当な追加費用を請求しない解体業者です。工事後に追加費用を請求することはありませんので、安心してご依頼いただけます。