100坪といえば、畳200枚分にも匹敵するほどの広さです。もし、100坪の敷地に住宅が建っている場合、建物の広さはおおむね50坪~70坪くらいだと考えられますが、撤去するならどの程度の解体費用がかかるのでしょうか?そこで、今回は100坪の敷地にある建物の解体費用について、実例も交えながら解説します。
100坪の敷地に建つ建物の解体費用はいくら?
一般的に、解体費用の算出でよく使用されるのが、坪単価です。
建物1坪を解体するために必要となる費用です。
それでは、100坪の敷地にある建物の解体費用について考えてみましょう。
解体費用のベースとなるのは坪単価
解体費用は「建物の延べ床面積(坪)×坪単価」で計算できます。 そこで、建物の延べ床面積と坪単価をそれぞれ確認し、100坪の敷地にある建物の解体費用を計算します。
建物の延べ床面積を調べる
坪単価で解体費用を計算する場合、敷地面積ではなく建物の延べ床面積を用います。
建物内部における、各階床面積の合計値です。もし、床面積が「㎡」で表示されている場合は、「1㎡=約0.3025坪」で換算します。
建物の延べ床面積を調べる場合、固定資産税納税通知書を調べます。以下は、岐阜県土岐市の公式サイトで紹介している固定資産税納税通知書の見本です。
上記の場合、132㎡(=約39.93坪)が建物の延べ床面積に当たります。
また、法務局で取得可能な建物の登記事項証明書でも、同様に建物の延べ床面積は分かります。 ただ、発行には手数料がかかるので、まずは固定資産税納税通知書で確認するのがオススメです。
建物の種類を確認する
坪単価は、建物の種類によって差が生じます。建物の種類別の坪単価は、以下の通りです。
建物の種類 | 坪単価の目安 |
---|---|
木造 | 25,000~40,000円 |
軽量鉄骨造 | 25,000~45,000円 |
鉄骨造 | 25,000~45,000円 |
鉄筋コンクリート | 30,000~60,000円 |
建物の種類で一番多いのは木造です。なので、地域にも左右されますが、坪単価はおおむね3万円前後です。
敷地100坪の建物解体にかかる坪単価を計算してみよう!!
では、100坪の敷地に建っている住宅について、目安となる解体費用を算出してみましょう。冒頭でもお話ししましたが、敷地100坪の建物の延べ床面積は、一般的に50坪~70坪程度です。そこで、以下のケースを想定してみましょう。
- 建物の延べ床面積⇒60坪
- 坪単価(木造)⇒30,000円
上記の数字を、解体費用の計算式である「建物の延べ床面積×坪単価」に当てはめてみます。
60坪×30,000円=1,800,000円
つまり、解体費用は180万円だと計算できます。
坪単価に含まれない費用を加算する
ただし、「建物の延べ床面積×坪単価」で算出できる数字は、あくまで解体費用の一部に過ぎません。 実は、坪単価は解体作業員の人件費と廃材の処分費から成り立っていて、坪単価に含まれない費用も多数あります。
ほとんどの解体工事で発生する費用
坪単価に含まれないものの、多くのケースで発生する費用を挙げます。
養生シート設置費
養生シート設置費は、養生シートの準備や設置などにかかる費用です。
解体工事で必ず発生する、騒音・振動・ホコリの飛散を防ぐシートです。近隣住民に迷惑をかけない目的で解体物件を取り囲むように設置します。
優良な工事業者さんなら、通常は建物より高い位置まで養生シートを張ります。 そのため、設置するのに半日~1日程度を要します。
足場設置費
養生シートの設置や解体作業を行うために必要な、仮設の足場を組むための費用が足場設置費です。養生シート設置費と併せて表示される場合もあります。
重機回送費
重機回送費は、重機を解体現場まで運搬するのにかかる費用です。解体工事で使用される重機は、普通の車と異なり公道を走れません。 そのため、運搬車を使用し、重機を解体現場まで運ぶ必要があります。
整地費
整地費は、解体跡地に残った大粒の石やコンクリート片などを取り除き、重機等で地面を平らにする作業にかかる費用です。整地が不完全だと新築工事や土地売却に支障をきたすおそれがあるので、解体工事において整地は重要な工程です。
以下の記事では、解体工事の品質管理ポイントについて説明しています。 見本として、望ましい整地の写真を載せているので、ぜひご覧ください。
参考 業者をお探しの方必見!! 解体工事の品質管理ポイントを押さえよう解体工事の情報館
付帯工事費
付帯工事費は、建物本体の解体撤去と同時に行う工事にかかる費用です。 主に、ブロック塀の撤去・庭石の撤去・樹木の伐採などが該当し、領収書の明細には具体名で表記する業者さんと、まとめて「付帯工事費」と記載する業者さんがいます。
発生する可能性がある費用
坪単価に含まれないものの、発生する可能性がある費用を挙げます。
残置物処分費
建物の解体費用を押し上げやすいのが、残置物の有無です。
解体物件の建物内部や敷地内に残っている生活用品その他ゴミなどのことです。
残置物処分費は、依頼者自身が事前に残置物を片づけておかないと発生します。なお、工事業者に残置物の処分を依頼すると、一般廃棄物(家庭ゴミ)ではなく産業廃棄物(事業者が排出するゴミ)の扱いとなり、処分費用がアップするので要注意です。
残置物については、以下の記事で詳細に解説しています。どうぞ、ご覧ください。
警備・交通整理費
警備・交通整理費は、解体現場前の道路などの安全を確保する人員を用意するための費用です。解体工事の作業においては、解体現場前を通行する人や車を事故に巻き込まないように警備員などを必要とするケースがあります。
官公庁届出費
官公庁届出費は、役所へ解体工事に関する届出を業者さんが行うための費用です。解体工事の届出や申請のなかには、工事依頼者に対して提出が義務付けられているものもあります。 ですが、工事依頼者が自分で行うのは難しいので、解体業者さんに代行してもらうケースがほとんどです。
以下の記事では、解体工事で必要な届出・申請を詳細に解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
地中埋設物撤去費
解体工事では、工事中に地中埋設物が発見される場合があります。
解体現場の地中から見つかる、ゴミ、井戸、浄化槽等です。
地中埋設物撤去費は、地中埋設物を掘り起こして処分するのに必要な費用です。何が埋まっているかは実際に解体工事を進めてみないと分からないので、地中埋設物撤去費は追加費用として請求されるケースが大半です。
解体業者によって坪単価が異なる
建物の延べ床面積や建物の種類、坪単価に含まれない費用を理解しても、正確な解体費用が分かるわけではありません。実は、坪単価は解体業者によって大きく異なるからです。例えば、同じ木造の坪単価であっても、以下のように設定額の差がある場合は注意が必要です。
- A社⇒30,000円/坪
- B社⇒35,000円/坪
上記2社の場合、ベースとなる解体費用は次の通りです。
- A社⇒25坪×30,000円=750,000円
- B社⇒25坪×35,000円=875,000円
A社とB社の差額は12万5千円
- A社⇒60坪×30,000円=1,800,000円
- B社⇒60坪×35,000円=2,100,000円
A社とB社の差額は30万円
坪単価の差が5,000円だと、25坪では12万5千円の差が生じます。ところが、60坪ともなると30万円の差にまで広がってしまいます。
このように、100坪の敷地に建っているような大きな家屋ほど、坪単価の差による影響を受けやすいので要注意です。 ですから、解体業者を選ぶ際は、解体費用の比較を行いましょう。
そこで、相見積もりをオススメします。
複数の解体業者から見積書を取得し、費用の総額や項目などを比較することです。
相見積もりを行う際は、基本的に解体費用の総額を比較しましょう。 坪単価に関しては業者間で表記が統一されていないため、比較が困難だからです。
ただし、解体費用の総額が安い解体業者さんだとしても、見積書に含まれていない費用が存在する可能性はあります。
なので、解体業者をお探しの際は、ぜひあんしん解体業者認定協会にお電話ください。
当協会の登録審査基準をクリアした優良な業者さんだけを、無料で複数社紹介しております。さらに、見積書の比較についてもアドバイスを行っています。どうぞ、当協会をご利用ください。
100坪の解体費用について実例を確認してみよう!!
あんしん解体業者認定協会では、敷地100坪で建物60坪の解体工事や、建物自体が100坪を超えるような解体工事に関するご相談も承っています。そこで、当協会を通して業者さんにご依頼いただいたなかから、いくつかを実例としてご紹介いたします。
【実例1】100坪超の建物を解体したケース-神奈川県横浜市-
神奈川県横浜市で行われた、約140坪の木造2階建て解体工事です。 2社から取得した見積書を見てみましょう。
A社の見積書
B社の見積書
A社とB社の見積書を一部まとめると、以下のようになります。
A社 | B社 | |
---|---|---|
坪数(業者計測) | 143.5坪 | 138.5坪 |
坪単価 | 33,000円 | 30,000円 |
坪数×坪単価 | 4,735,500円 | 4,155,000円 |
見積金額(税込) | 5,570,000円 | 5,335,200円 |
A社の坪単価は、13,000+8,000+12,000=33,000円です。B社の坪単価が30,000円なので、坪単価あたりの差は3,000円。坪数を140坪とすると、140坪×3,000円=42万円の差が生じます。
坪単価ではわずかな差であっても、解体費用全体では大きな差となって表れます。加えて、坪数の計測で生じた5坪の差(5坪×33,000円=16万5千円)も考慮すると、A社とB社の差はなんと約58万円にものぼります。
100坪超の建物ともなると、業者さんによって坪数の計測にバラツキが出て、解体費用への影響が大きくなりやすいので要注意です。
つまり、100坪を超える建物の解体費用については、以下のような気を付けなければなりません。
- 坪単価が3千円上がると、解体費用は30万円以上上がる
- 坪単価が3万円なら、業者が計測した延べ床面積が5坪違うだけで15万円以上の差が生じる
なお、事例1は以下の記事で詳細に紹介しています。ぜひ参考にしてください。
参考 お客様の声 神奈川県横浜市 120坪 木造2階建て解体工事の情報館
【実例2】坪単価が高くても総額で安いケース-東京都新宿区-
東京都新宿区で行われた、約68坪の木造3階(屋根裏部分を含む)建て解体工事です。 3社から取得した見積書を見比べてみましょう。
A社の見積書
B社の見積書
C社の見積書
3社の見積書を一部だけまとめると、以下の通りです。
A社 | B社 | C社 | |
---|---|---|---|
坪数(業者計測) | 66.88坪 | 68坪 | 68坪 |
坪単価 | 38,000円 | 38,000円 | 40,000円 |
坪数×坪単価 | 2,541,440円 | 2,584,000円 | 2,720,000円 |
見積金額(税込) | 4,005,439円 | 3,900,000円 | 3,348,000円 |
「坪数×坪単価」ではA社が最も低いものの、「見積金額」ではC社が最安値となっています。実は、駐車場の解体撤去費用に大きな差があるのが原因です。
A社 | B社 | C社 | |
---|---|---|---|
駐車場の解体撤去費用 | 982,800円 | 520,000円 | 250,000円※ |
駐車場の解体費用については、A社が約98万円であるのに対してC社は25万円です。このように、坪単価に含まれない費用によって大きな金額差が発生するケースもあります。
坪単価だけで解体費用を比較しないよう注意しましょう。なお、事例2は以下の記事で取り上げています。ぜひご一読ください。
東京都新宿区 木造3階建て住宅 68坪|工事の分離発注について
【実例3】坪単価が算出できないケース-埼玉県八潮市-
埼玉県八潮市で行われた、約63坪の鉄骨2階建て解体工事です。以下に挙げる2社の見積書については、A社・B社ともに本体解体費用と処分費用がバラバラになっていて、簡単には坪単価を算出できません。 そのため、明細書にある「金額」から、直接「坪数×坪単価」に相当する項目を探します。
A社の見積書
B社の見積書
坪数×坪単価の相当額と見積金額をまとめると、以下の通りです。
A社 | B社 | |
---|---|---|
坪数×坪単価(相当額) | 2,648,000円 | 1,890,000円 |
見積金額(税込) | 3,434,400円 | 3,350,000円 |
もし、坪単価を簡単に算出できなかったり、「一式」となっていて坪単価の詳細が分からない場合は、上記のように坪数×坪単価の相当額で比較してみてください。なお、上記の例では、坪数×坪単価の相当額でも見積金額でも、B社の方がA社より安くなっています。
しかし、B社は残置物の処分費を含んでいないため、実際の請求金額に関してはB社の方が安いとは限りません。このように、見積書に含まれる費用の範囲は解体業者さんによって異なります。見積書の額面だけで見比べられないケースもあるため、よく注意しましょう。
また、事例3は以下の記事で紹介しています。ぜひ、ご覧ください。
参考 【埼玉県八潮市】解体業者の見積りを6社比較して分かった最安値は?解体工事の情報館
まとめ
今回は敷地100坪にある建物の解体費用について説明しました。
敷地100坪ともなると、坪単価に解体費用が大きく左右されます。 そのため、坪単価を低く設定している業者さんに依頼した方が、総額の解体費用を安く抑えられます。
ただし、見積書に関しては、ご自身のみで正確な比較をするのは意外と困難です。坪単価や見積金額が安い解体業者さんであっても、すべての費用が見積書に含まれているとは限りません。
ですから、解体業者選びについては、あんしん解体業者認定協会にどうぞお任せください。無料で優良な解体業者を複数紹介できるうえ、見積書のチェックに関してもアドバイスを行っています。 ぜひご連絡ください。
100坪を超える敷地に建つようなお屋敷なら、少なからず思い入れがありますよね。ですから、優良な解体業者さんに依頼し、丁寧な工事をしてもらいましょう。