古家の解体費用 築年数30年を超える家屋の撤去費を解説

古家の写真

土地に付属している古い住宅のことを、広く一般的に「古家(ふるや)」と呼びます。

古家の多くは一定以上の築年数が経過しているため、新築や土地売却に伴い古家の解体をお考えの方も多いかと思います。

そこで本記事では、古家の解体費用の特徴や事例について解説していきます。

「古家の解体費用のことを詳しく知りたい!」という方は、ぜひ本記事を参考になさってください。

「古家」の定義

「古家」は、不動産売買などにおいて「古家付き土地」「土地(古家あり)」といった使われ方をする不動産用語の一つです。

この「古家」と呼ばれる建物に厳密な定義はありませんが、一般的には「法定耐用年数を過ぎ、資産価値がほぼ無くなった状態の家」のことを指します。

そこで本記事においても、法定耐用年数を超えた建物のことを「古家」と定義し、解説を進めていきます。

なお、法定耐用年数は建物の用途や構造ごとに異なり、一般的な住宅に用いられる構造の法定耐用年数は以下のように定められています。

構造 法定耐用年数
木造 22年
鉄骨造(厚さ3mm以下) 19年
鉄骨造(厚さ3~4mm) 27年
鉄骨造(厚さ4mm以上) 34年
鉄筋コンクリート造(RC造) 47年

参考 主な減価償却資産の耐用年数表国税庁

古家の解体費用に関わる特徴

古家と一般的な住宅とで、解体費用の算出方法に大きな違いはありません。

ただし、いくつかの費用項目においては、古家ならではの事情によって解体費用が上下することがあります。

古家の解体費用にはどんな特徴があるのか、さっそく確認していきましょう。

築年数と解体費用に相関性は低い

古家は法定耐用年数を超えた建物を指すことから、少なくとも築20年以上が経過している建物が多くを占めます。

そのため「築年数が古いから、解体費用が安い(あるいは高い)」と想像される方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、築年数が解体費用に及ぼす影響はほとんどありません。

古家も一般的な住宅と同じく、その建物ごとの状況・立地・環境などの複合的な要因によって解体費用が変わります。

解体現場家の解体費用の相場を解説

築年数30年以上の古家はアスベスト除去費用がかかる場合がある

かつて建材に使われていたアスベストは、日本では1975年から段階的に使用が禁止され、2006年には全面的に使用が禁止されています。そのため、2006年以前に建てられた家にはアスベストが使用されている可能性が高いといえます。築30年を超える古家は、通常の解体費用に「アスベスト除去費用」が加算されることも考えられます。

なお、建物を撤去・解体する際、施工業者はアスベストの有無を解体工事の前に調査する義務があると法律で定められています。アスベストの事前調査費用は別途かかるので注意が必要です。

▷アスベストが含まれる建物の解体費用をチェック

購入した土地の古家は、残置物撤去費用が安く済む場合がある

古家付の土地を購入し、新築家屋を建てるために古家を解体するケースでは、売り主によって残置物がすでに撤去されている場合があります。

残置物が撤去してあれば、そのぶん解体時の「残置物撤去費用」が安く済む傾向にあります。

▷残置物の処分方法をチェック

古家の解体費用実例

続いて、古家の解体工事の見積りデータをご紹介します。

ご紹介するのは、当協会(一般社団法人あんしん解体業者認定協会)を介して実際に行われた古家の解体工事です。

2つの実例をご紹介しますが、いずれも坪数・構造・築年数に大きな差はありません。

建物のある場所や詳細な条件による解体費用の違いに注目しながらご覧ください。

築56年神奈川県川崎市44坪木造住宅

まずは、神奈川県川崎市にある44坪の木造住宅の見積りデータをご紹介します。

この物件は、築56年が経過した古家です。

総額は200万円を超えており、木造住宅の中では比較的高いほうだと言えます。

付帯工事費は少ないですが、建物本体の解体費用が高額であることが特徴的です。

階数 2階
坪数 44坪
建物解体費用 214万1,680円
総額 230万円
品名 数量 単価 金額
足場及シート養生 255m² 850円 216,750円
建物上物解体工事 146.08m² 8,500円 1,241,680円
基礎解体工事 91.54m² 3,800円 347,852円
重機回送代 一式 70,000円 70,000円
道路側擁壁撤去工事 一式 60,000円 60,000円
道路側CB撤去工事 一式 35,000円 35,000円
車庫土間撤去工事 一式 40,000円 40,000円
敷地内土間撤去工事 一式 20,000円 20,000円
大谷石門柱撤去工事 一式 20,000円 20,000円
アルミベランダ撤去工事 一式 20,000円 20,000円
伐根工事(水道廻り) 一式 20,000円 20,000円
スチール車庫撤去処分 一式 5,000円 5,000円
アスベスト調査費 一式 50,000円 50,000円
諸経費 30,000円
小計 2,176,282円
消費税 217,628円
値引き -93,910円
合計金額 2,300,000円

築60年北海道函館市44坪木造住宅

続いて、北海道函館市にある44坪の木造住宅の見積りデータをご紹介します。

この物件は、築60年が経過した古家です。

こちらの物件は、建物本体の解体費用に対し、付帯工事費が高額であることが特徴です。

見積り項目からは、一般ごみ・家電・その他の残置物の撤去費用が発生していることが分かります。

階数 2階
坪数 44坪
建物解体費用 105万6,000円
総額 178万2,000円
品名 数量 単価 金額
家屋解体 44坪 24,000円 1,056,000円
車庫解体 6坪 18,000円 108,000円
物置解体 1坪 10,000円 10,000円
都市ガス設備撤去料 一式 37,000円 37,000円
仮設水道設備・撤去料 一式 19,000円 19,000円
立木撤去・建物周囲残物処分 一式 45,000円 45,000円
解体後の敷き均し材・整地工事 一式 35,000円 35,000円
アスファルト撤去処分 20m² 1,800円 36,000円
重機回送料 2回 13,000円 26,000円
アスベスト事前調査費 一式 90,000円 90,000円
一般ごみ分別処分「家電込み」 一式 110,000円 110,000円
値引き -8,000円
小計 1,620,000円
消費税 162,000円
合計金額 1,782,000円

古家の解体工事にかかる費用の内訳

古家の解体に掛かる費用の内訳には、建物を壊す費用に加えて廃棄物の処理費用などが含まれます。主な内訳の項目は以下の通りです。

本体工事費

建物本体を取り壊すために必要な作業員の人件費を指し、工事費用の多くを占めます。

付帯工事費

主となる本体工事に付随して行う工事費用で、残置物の処分やブロック塀の解体、庭木・庭石や井戸の撤去などのことを指します。

廃材処分費

建物の取り壊し工事によって出た木くずや瓦礫類などを処理する費用を指します。

古屋を解体するメリットとデメリット

古家を解体すると土地活用がやりやすくなる、という利点がありますが、一方で再建築不可物件だった場合は新しい家が建てられなくなる、というリスクもあります。

ここでは、古家を解体するメリットとデメリットについていくつか紹介していきます。

メリット1:買い手が付きやすい

はじめから新築のみを検討している方であれば、古家があると解体の手間が増えてしまうと考えて、購入のハードルが高くなってしまう恐れがあります。

また、今後も住んでもらうことを想定して古家を売却に出したとしても、老朽化が進んでいると、リフォーム費用を懸念して買手が付きにくくなるケースも考えられます。

いずれにしても、初期費用の面で他の物件より目おとりしてしまうと売却のチャンスを逃しやすくなってしまうので注意が必要です。

仮に、立地の条件や物件の状態があまり良くないと感じるようであれば、思い切って古家を解体して土地物件として売りに出したほうが、買手がつくというメリットがあります。

メリット2:契約不適合責任を問われずに済む

不動産の売買では、古家があると契約不適合責任の影響で売却する側の方がリスクが高くなる傾向があります。

もし、契約内容にない瑕疵が発見された場合、本来見つけることが容易ではなかったとしても、また、買い主の見落としによるものであったとしても追完請求などの追加請求ができてしまいます。

その点、古家を解体してから売却した場合、建物に対する契約不適合責任を問われる心配がなくなるので、売却後のリスクが軽減されるメリットがあります。

結果的に、古家を解体して土地として売却した方が、売る側にとっても買う側にとってもスムーズな売買に繋がる場合があります。

デメリット1:買手側が住宅ローンを利用できない

基本的に投資を目的として不動産の購入を検討している場合は、住宅ローンを使うことができません。

そのため、古家を解体してしまうと、不動産の転売を視野に入れて購入を検討している方で、かつ住宅ローンの利用を考えている方には売却ができなくなる、といったデメリットがあります。

デメリット2:再建築不可物件では新しい建物を建築できなくなる

対象の古家が再建築不可物件に指定されていた場合は、解体してしまうと新しく家を建てることができなくなってしまいます。

これは、消防車などの緊急車両が通れるように、「新しく建てる建築物は道幅が4m以上の道路に敷地が2m以上接していなければならない」、という建築基準法の規定があるからです。

しかし、古家の中には上記の規定を満たすことができないものが少なくありません。こうした物件は再建築不可物件として取り扱われるため、解体して更地にすると利活用が難しい土地になってしまう、といったデメリットがあります。

デメリット3:建ぺい率と容積率を下げないといけない場合がある

現在、新しく建物を建てる場合は、土地の利用目的に応じて延べ床面積を建ぺい率や容積率の規定の範囲内でおさめなければなりません。

そのため、建ぺい率や容積率が規制される前に立てられた古家の場合、新しく立て直してしまうと以前よりも空間が制限された狭い家になってしまう恐れがあります。

古家の解体費用を抑えるポイント

古家を解体する際に、費用を抑えるポイントは以下の通りです。

複数の解体業者から見積りをとる

複数の解体業者から見積りをとって比較・検討することが、家の解体工事費用を抑えることにつながります。工事費用の設定は解体業者によってバラつきがありますが、安すぎる価格は手抜き工事や近隣トラブルを招くリスクもあるため注意が必要です。相見積りで費用の相場を把握し、適正価格かどうかを判断しましょう。

閑散期に家の解体を依頼する

閑散期を狙って依頼するのも工事費用を抑えるためのコツです。建築業界の閑散期は4月~6月と言われています。工事の予算編成をする時期で、予算が出来上がってから仕事の依頼が来るまでの期間が空くためです。閑散期は受注の数が減ってしまうので、多少値引きをしてでも請け負ってくれる解体業者が増える傾向にあります。

家屋の残置物を自分で処分する

布団や衣類、不燃ゴミは一般廃棄物に該当するため、基本的には解体業者ではなくお施主様が処分します。これらの処分を解体業者に依頼すると産業廃棄物の扱いとなるため、費用が高くなります。家屋の残置物の処分費用を節約したい場合は、あらかじめお施主さん自身で不用品を処分しましょう。たとえば、電化製品はリサイクルに出したり、一般ゴミはゴミの日に回収してもらったりと、決して難しい作業ではありません。

家の解体工事の補助金や助成金を利用する

長年使用していない空き家を除却する際は、自治体によって補助金や助成金が支給される場合があります。全国の空き家問題を改善するために、自治体ごとに補助金、助成金を定めているからです。支給金額や支給条件は各自治体によって異なりますが、地域や住宅の状態によって100万円以上支給されるケースもあります。

古家の解体費用についてのまとめ

「古家あり」の土地は、古家の解体工事にかかる手間や費用などの分を見越して、更地の状態よりも割安で売られているのですね。しかし、理想の土地に、割安で新築できるなら、苦労も良い思い出になるかもしれません。

相場を見て、だいたいの解体費用の目安がつかめたら、さっそく見積りをとって、実際にかかる費用を教えてもらいましょう。

この記事を書いている私たち、「解体無料見積ガイド」では、全国の解体業者さんに実際に会いに行き、信頼できる業者さんのみを厳選して、お客様とお繋ぎしています。

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