家を解体する前に「お祓い」はするべき?費用や手順について

お祓い

家の解体や建築は一生のうちに何度も経験できる出来事ではないため、実際に施主になったときに「空き家を取り壊すことになったけど、お祓いってするべき?」「絶対にやらなきゃいけないもの?」という疑問が出てくると考えられます。

そこで今回は、なぜ家の解体時にお祓いをするのかという理由や、必要な費用、実際の手順などを紹介します。

家を取り壊すときにお祓いをする理由

「お祓い」は古くから日本に伝わる神道の宗教的な儀式で、 罪やけがれ、災厄などを取り除き、場や身を清める行為です。

建物においては、家を取り壊すときや、新たな家を建てる際、工事の安全を願ってお祓いを執り行います。この儀式は慣習的なもので、科学的な根拠や法的な義務があるわけではありません。

ただ、長く暮らしていて家自体に思い入れがある場合や、大切な人がずっと住んでいた家である場合に気持ちの整理をつけるという内面的な理由や、近所付き合いといった外面的な理由でお祓いをしてもらうのが一般化しています。

家を取り壊すときのお祓い

「解体清祓」

建物を取り壊す際に行うのが「解体清祓(かいたいきよばらい)」です。

この儀式は工事に入る前までに行い、家屋の守り神に対して、これまで見守ってくれた感謝と、これから行う工事が無事に終わるように祈願します。

基本的に神社の神主さんに依頼をし、家の敷地内で行います。

儀式の流れ

依頼先の神社によって多少異なりますが、儀式は以下の流れで執り行います。
所要時間はおよそ1時間で、家の敷地内で行うのが通例です。

  • 開式の辞
  • 修跋(しゅばつ)の儀
  • 降神の儀
  • 献饌(けんせん)
  • 祝詞奏上
  • 清祓い
  • 玉串奉奠(たまぐしほうてん)
  • 撤饌(てっせん)
  • 昇神の儀
  • 閉会

お供え物

お祓いには、お供え物が必要です。
有料で取り揃えてくれる神社もありますが、基本的には依頼する戸主が準備するものです。主に以下を用意します。

  • その他(野菜、果物など)

お祓いの際の服装

服装は普段着で問題ありません。ただし、外に長時間いることになるため、天候に合わせた服装が好ましいです。

お祓いにかかる費用

初穂料 2~3万円
(出張費) (1~2万円)
お供え物や、 その他お祓いに必要なものの準備費 5千円~1万円

解体清祓にかかる費用の合計は5~6万円で、初穂料のみの相場は2~3万円です。
神社によっては、神主さんの現地への出張費1~2万円が別途かかる場合もあります。出張費の有無は依頼時に確認することをおすすめします。 また、お供え物やその他お祓いに必要なもの(竹や縄、砂など)を準備するため、5千円~1万円が必要になります。

初穂料(はつほりょう)とは?

道での儀式で神前に奉納する金銭のこと。昔、その年に初めて収穫された米を神前に捧げていたことに因んで、神前に供えるお金を初穂料と言うようになりました。

敷地内の設備を取り壊すときのお祓い

「井戸祓」

農耕で生計を立てる日本では、水源の確保は死活問題でした。水が集まる井戸は神道の「八百万の神(やおよろずのかみ)」の考え方と結びつき、長らく神が宿る場所として大切にされてきました。そのため、たとえ涸れ井戸であったとしてもむやみに井戸を解体・撤去することは罰当たりな行為だと考える方が今も少なくありません。井戸祓は解体清祓と同時に行うことが多く、「井戸埋立清祓(いどうめたてきよはらい)」と呼ぶこともあります。費用相場は2~3万円です。

当サイトには、井戸の解体・撤去についてまとめた記事があります。詳しくはこちらを参考にしてください。

▷井戸の埋め戻しとは?解体の手順と必要な費用を解説

「樹木祓」

長く生きた樹木には精霊が宿るとされ、むやみに切り落とすことは罰当たりだと昔から言われてきました。そのため、木を伐採するときにもお祓いをするのが慣習化しています。 樹木祓の費用相場は2~3万円です。

「魂抜き」

仏壇(位牌)や神棚には魂が宿るとされているため、取り壊しや移動の際には、「神仏の魂抜き」を行い、物に戻してから扱う必要があると言われています。仏壇の場合はお寺の僧侶に、神棚は神社の神主へ依頼します。費用は依頼する神社あるいはお寺によって差がありますが、相場は3~5万円です。

家にまつわるその他のお祓い

「地鎮祭」

家にまつわるお祓いは「地鎮祭(じちんさい)」が最も知られています。ただし、こちらは新たに家を建てるときのお祓いです。

地鎮祭は、更地になった状態で行います。敷地内に祭壇を設けて神様をお迎えし、家を建てることの報告と、工事の無事を祈ります。 お祓いの流れ自体は解体清祓とほぼ同じです。

地鎮祭は他のお祓いに比べて執り行われる割合が高く、都道府県によって差はありますが、9割ほどが実施するようです。

魂入れ(たましいいれ)

引っ越して神棚や仏壇を別の場所に移動させたときや、新しく購入した際には、「物」から「参拝対象」にするため、「魂入れ」という儀式を行います。

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