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解体工事に関する用語集

解体工事に関する様々な用語について解説をします

借地借家法(借家法)

現在の借地借家法と旧借地法では地主のメリットがまるで違う!

借地借家法と旧借地法

所有の土地を借地として貸し出している地主の方であれば、借地法については耳にしたことがあると思います。

借地法はかつて、大正10年から71年間「借地人の保護」に重点を置いて続けられていましたが、平成4年に廃止され、新しく借地借家法が制定されました。

では、なぜ借地法は廃止され、新たな法律が制定されたのでしょうか?また、旧借地法と現在の借地借家法との違いは何なのでしょう。

今回は、地主さんが知っておくべき借地法について詳しく解説していきます!

現在の「借地借家法」における借地法

借地借家法における借地法

現在、地上権や土地の賃貸借(借地)と建物の賃貸借(借家)についての法律は「借地借家法」で定められています。 今回は借地借家法の中から、借地についての内容を紹介していきます。

現在の借地法では、その土地に建物を建てて利用することを前提とした賃借権を借地権と定義しています。この借地権は、文字通り借りる側の権利ですね。

借地権には大きく分けて2種類あり、普通借地権定期借地権に分けられます。

普通借地権とは?

普通借地権とは、簡単にいえば「契約期間が満了した際にも更新ができる」借地権です。 最初の契約で20年間、2回目以降は10年ずつで更新されます。

この更新は、地主と借主の間で期間を定めることは自由とされています。

普通借地権においては、契約満了時に借主に更新の意思があった場合、地主側に更新を拒否する正当事由がない限り自動的に契約が更新されることになります。

また、契約が終了した際に借主が建てた建物が残っていた場合、地主に買取を請求することができ、これを建物買取請求権(借地借家法第14条)といいます。

建物買取請求権

建物買取請求権とは、土地の賃貸借契約が終了し、借主が土地を返還する際に、その土地に建つ建物の買取を地主に請求できる権利です。「請求権」とありますが、実際には地主側の都合であったり、合意解約の場合において地主に買取請求権への拒否権はありません。ただし、地主側が契約更新を許可していたにも関わらず借主が更新を拒んだ場合や、債務不履行における契約解除の場合などは例外であり、地主側・借主側の合意がない場合は裁判に発展することも少なくありません。

定期借地権とは?

定期借地権は反対に、「契約期間が満了した際に更新することができない」借地権です。

普通借地権においては契約満了時に買取請求権を行使することができますが、定期借地権においては買取請求権は存在しませんので、借主は借りていた土地の建物を自身で取り壊し、更地にして地主に返還しなくてはなりません。

定期借地は、返還の時期が決まっているため財産管理がしやすく、地主側のメリットが比較的多い借地です。

また、定期借地権には3つの種類があり、それぞれ借地権の存続期間などが異なります。

(1)一般定期借地権

定期借地権のほとんどが、この一般定期借地権にあたります。

一般定期借地権では存続期間を50年以上と長い期間で設定されます。期間満了時には借地契約は完全に終了し、借主は先述の通り、自己負担で建物を解体して土地を更地にしてから、借地の返還をしなくてはいけません。

(2)建物譲渡特約付借地権

定期借地権には買取請求権が存在しないとお話しましたが、建物譲渡特約付借地権は、契約後30年以上経過した際には地主に建物の買取を請求できる借地権です。 このため、契約の存続期間は30年以上となっています。

建物譲渡特約は土地の賃貸借契約締結時に合意の上で約束されるため、契約から30年以上経っている場合において、請求された場合の拒否権は地主側にありません。

また、逆に言えば「建物の買取を約束していた」からと言って、借主側に買取請求の意思がない段階で「建物を早く譲渡してほしい」と地主側が請求することはありません。

主にマンションなどが建物譲渡特約付借地権の対象となることが多く、借主は建物譲渡をした段階で借地権を失うほか、建物の所有権も失効することとなります。

(3)事業用定期借地権
事業用定期借地権

事業用定期借地権はその名の通り、事業用の建物の所有を目的とした借地権のことで、10年以上50年未満の期間を定めて契約されます。なお、公正証書による契約締結が要件となります。

事業用定期借地権は一般定期借地権同様、契約期間の満了を持って借地権が消滅しますので、事業用の建物を事故負担で解体し、更地にして土地を返還することが求められます。

定期借地権の中で最も短い期間の契約ができるのが事業用定期借地権ですが、賃貸マンションやアパートなどの居住目的の建物についてはこの対象ではなく、主にショッピングセンターなどの大規模商業施設や工場、物流施設などで活用される権利となっています。

廃止された旧借地法

旧借地法

大正10年以前、日本には「建物保護ニ関スル法律」なるものがありましたが、この法律では借主側の権利保護が十分ではなく、地主と借主で不平等な法律であったため、「借地人(借主)の権利の保護」に重点を置いた「借地法」が施工されました。

旧借地法では、土地を借りて契約更新を続けていけば半永久的に契約の継続をすることができました。契約の最低限の期間が定められているものの、当事者が意識していなくても借地契約は自動的に更新されていく、というシステムなのです。

なお、旧借地法も2種類に分けられ、こちらは堅固建物の契約・非堅固建物の契約と、建物の構造で分類されていました。

堅固建物の契約の場合

堅固建物は、主に鉄筋造・石造・土造・煉瓦造等の非木造の建物のことを指し、これらの堅固な建物の所有を目的とした土地の賃借については初回の契約期間を最低30年以上とするよう定められていました。

また、初回の契約期間についての合意がない場合は期間を60年とし、初回の期間の長さに関わらず2回目以降の更新は30年とされています。

非堅固建物の契約の場合

木造の建物等の非堅固の建物の所有を目的とした借地は、初回の契約期間を最低20年以上、契約期間の合意がない場合は30年、2回目以降の更新期間は20年とされています。

また、借地権の契約を設定する際に建物の種類・構造を定めなかった場合は、建物の実際の構造に関係なく非堅固建物の所有と見なされてきました。

地主にとって不利な旧法

地主にとって不利な旧法

ここまで旧借地法について簡単に説明してきましたが、現在の借地借家法における借地法と、旧借地法ではどのような違いがあり、地主側が受ける影響の違いは何なのでしょう。

ここで重要となるのが旧借地法は借主側の権利の保護の為に施工されたということです。

合意によらない「法定更新」と曖昧な「正当事由」

かつての旧借地法では、借主側に更新の意思がある限り、地主側の都合で契約を解除するのはとても難しいことでした。最初の契約から30年経ち、更新の期間になったとしても、特に借主に契約解除の意思がなければ自動的に更新されていくのです。

わかりやすく言えば、更新が原則とされている法律というわけですね。

地主側が契約解除を求める際、借地に建物が建っているままの状態だと、地主側に正当事由がなければ認められることはありませんでした。

しかし、この正当事由の定義は曖昧なもので、旧借地法においては「土地所有者自らが土地の使用を必要とする場合、その他の正当な事由」とされているのみで、細かく定められていないために地主と借主の間の解釈違いによるトラブルは少なくありませんでした。

なお、建物が借地上に建っていない場合、正当事由の提示は必要なく、期間満了で借地権の消滅とされています。これは、借地権がそもそも「建物の所有を目的とした土地の賃借」であるためです。

ただし、地主が建物が建っていないことに対して異論を唱え、土地の返還を求めることがなかった場合、更地であっても借地として更新されていきます。

建物が朽廃や災害により滅失した場合の対処に関しても旧法と新法では違いがあります。

建物が朽廃してしまった場合

旧借地法において契約された借地だと、存続期間が定められていない場合は、建物が朽廃してしまった場合、同時に借地権がなくなることになり、朽廃ではなく滅失してしまった場合は、借地権の権利を主張することができなくなります。

逆に言えば、存続期間が定められていれば建物が朽廃しても借地権は消えません。

存続期間を定めている契約の場合、建物の朽廃は地主側が契約解除を求める上での正当事由にはならないということです。

建物が滅失してしまった場合

建物が朽廃や災害により滅失してしまい、新たに建物を建てなければならない時。

契約当初の建物がなくなり、残りの契約期間を超えて存続する建物を建てる際に、堅固建物であれば30年、非堅固建物であれば20年、契約期間が延長されることとなり、地主が契約解除を求めることはできません。

これが新法では改正されており、1回目の更新以降であり地主の承諾を得ていない再築に関しては、地主側が尺一の契約を解除できるものとされています。

双方の合意でなく、地主が解約の申し入れをした時点で借主の借地権は消滅することになりますので、地主側の都合で契約解除することができるというわけです。

旧借地法で契約した土地の今後は?

新しく施工された「借地借家法」における新借地法は、あくまで平成4年8月1日以降の借地の賃貸借契約を対象としたもの。

つまり、平成4年8月1日以前の契約は全て旧借地法が適用される契約であり、現在まで一度も解約されていなければ、今後も旧法で定められた通りの契約が続行するということなのです。

旧借地法で契約した土地の今後

特に契約が長くなるケースとしては、旧法において契約した借地権を相続し、何世代にも渡って受け継いでいるというケースです。

借地権の相続には特に地主の許可などは必要なく、相続した際に通知するのみで手続きとしては完了となるため、当初の借地権者が亡くなったからと言って地主側が土地の返還を求めることはできないのです。

(※ただし、相続でなく遺贈であった場合は地主の承諾が必要となります)

旧法で契約したものを契約し直したい

平成4年8月1日以前に、旧借地法上で交わされた契約を新たに契約し直し、現在の借地法に則った契約にしたいと思う地主さんは多いでしょう。

旧法で契約したものの再契約

旧借地法は現在よりも借主側に有利な内容になっていますから、「もう契約当初から何十年も経っているし、契約し直したい…」と思われるのは当然のことです。

しかし、残念ながら旧借地法で締結されている借地契約については、新借地法で契約し直すことは法的に認められていません。

現在の法律上では、旧借地法の借地権は契約が続いていく限り、半永久的にそのままの契約条件で続いていくことになっています。

地代の値上げや更新料の金額については合意の上で変更できる

旧法の借地権はそのまま新法で契約し直すことはできないとしても、当初決定した契約内容の変更さえもできないといわけではありません。

当初は安い地価だったとしても、何十年も契約していれば周辺の地代も高くなり、「所有の土地の地代だけ周辺の相場よりも安い…」ということも十分にありえます。

経済状況は時代によって変化しますし、固定資産税の値上がり等のやむを得ない事情により地代を値上げすることは全く問題なく、借主側も受け入れるべき要望です。

しかし、あくまで地代の値上げは「地主・借主間での合意の上で成立」するため、借主側がこれを不服として受け入れず、なかなか金額の変更ができないという事例は多いです。

更新料についても、もともと請求に応じることが法的に義務付けられているわけではありませんので、金額の決定でもめてしまうことは少なくありません。

そのようなときは当事者のみで話し合うのではなく、第三者を交えて冷静に話し合いを進めていくことが必要です。

旧法の借地権をなくしたければ、解約してもらうしかない

旧法の借地権を新法に契約し直す、ということは原則としてできませんが、一度契約を解除し、もう一度契約をするという方法であれば可能です。

しかし、「新法の借地権に変更したいため」というのを理由に解約を求めても、借主としては何のメリットも生まれませんので、当然合意したいとは思わないでしょう。

そのため、新法での契約をし直すと考えるよりは、今している契約を解約し、他に土地の活用方法を考えたほうが現実的でしょう。

土地の返還を求めるには相応の正当事由が必要となりますが、土地の返還に関しても双方で合意できれば成立する為、借主側の了承を得られれば正当事由となるというわけです。

要するに、土地を返してもらうには借主との話し合いで決定するか、借主に納得してもらえる条件を提示する(借地権買取、建物買取など)ことが必要だということです。

借地借家法についてのまとめ

土地の賃貸借契約において重要なのは、その借地権は「新法上のものか?」「旧法上のものか?」ということです。

その借地権はどの時期にどのような契約内容で締結されたものなのか、そして今後その土地をどうしていきたいのかをよく考え、問題や改善すべき点があった場合には借主さんとの間で円満に解決していけるようにしましょう。

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