病院の解体では、普通の解体工事に比べて費用が掛かりやすいポイントや病院ならではの費用があるなど、特有の注意点が発生します。当記事では、そんな『病院の解体』でチェックしたい事柄を、実際の見積り例付きでご紹介します。
病院の解体にかかる費用の例
早速ですが、病院の解体見積り例を確認してみましょう。通常の病院解体を行った例と内装解体のみを行った例(ビルのテナント等)の両方の見積り例を用意しているので、気になる見積りをご確認ください。
病院の解体では建物の規模や付帯工事の多さによって費用がかなり高額になりますが、他の建物(住宅やビル、工場等)に比べて坪単価が抜けて高額になる、ということはありません。ただし、坪単価のみでは測れない費用が多くかかるのも事実なので、見積りの際には注意してください。
青森県・外科病院解体
品名 | 数量 | 単位 | 金額 |
---|---|---|---|
直接工事費 | |||
解体工事 | 1 | 式 | 17,386,843円 |
直接仮設工事 | 1 | 式 | 2,719,090円 |
アスベスト除去工事 | 1 | 式 | 5,685,890円 |
杭引き抜き工事 | 1 | 式 | 2,719,090円 |
小計 | 30,529,843円 | ||
住宅解体工事 | |||
解体工事 | 1 | 式 | 2,582,050円 |
直接仮設工事 | 1 | 式 | 502,685円 |
外構工事 | 1 | 式 | 2,354,960円 |
小計 | 5,439,695円 | ||
合計 | 35,969,538円 |
品名 | 数量 | 単位 | 金額 |
---|---|---|---|
直接工事費 | 1 | 式 | 35,969,538円 |
共通仮設費 | 1 | 式 | 1,545,000円 |
現場管理費 | 1 | 式 | 3,220,000円 |
一般管理費 | 1 | 式 | 4,155,000円 |
値引 | -9,589,538円 | ||
合計 | 35,300,000円 |
こちらは大規模な病院の解体事例です。
建てられたのが古めかつ大規模な病院だったため、アスベストが外壁等に多く用いられており、その処分に多く費用が発生していることがわかります。
また、『機械設備機器撤去』に28万円程の費用が掛かっており、これも病院設備が残置物となったことが予想されます。
東京都・病院内装解体
品名 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
---|---|---|---|---|
養生費 | 1 | 式 | 5,000円 | |
内装解体 | 45 | m² | 6,000 | 270,000円 |
エアコン撤去処分費 | 3 | 台 | 5,000 | 5,685,890円 |
発生材小運搬費 | 45 | m² | 1,500 | 67,500円 |
発生材運搬費 | 45 | m² | 2,500 | 112,500円 |
発生材処分費 | 45 | m² | 3,000 | 135,000円 |
診察台撤去処分 | 3 | 台 | 4,000 | 12,000円 |
冷蔵庫撤去処分 | 1 | 台 | 11,000円 | |
レントゲン撤去処分 | 1 | 台 | 120,000円 | |
諸経費 | 1 | 式 | 90,000円 | |
合計 | 838,000円 |
こちらは、ビルの中にあるテナント(間借りされた一区画)にある病院の内装解体です。
通常の内装解体と大きく異なるのは、『診察台撤去処分』『レントゲン撤去処分』の2項目。これらは一般の住宅や店舗等の工事では出ることのない、病院ならではの設備に該当します(また『冷蔵庫撤去処分』も業務用の場合があります)。
病院の内装解体の見積り例
こちらは内装解体の見積り例をまとめた表です。面積や種類とあわせ参考にしてみてください。
病院の種類 | 面積(m²) | 解体費用 |
---|---|---|
眼科 | - | 128万円 |
歯科 | 30.5 | 120万7,580円 |
歯科 | 68.6 | 153万円 |
歯科 | 63 | 87万1,200円 |
耳鼻科 | 180 | 253万550円 |
整骨院 | 63 | 65万700円 |
内科 | 46.9 | 57万4,838円 |
皮膚科 | 67.4 | 165万円 |
病院の解体にかかる費用の特徴
さて、ここからは上記の見積りをチェックした上で、病院ではどんな費用が追加でかかりやすいか確認してみましょう。
アスベスト
2006年の利用禁止まで、特に大きな建物に対して用いられていたアスベスト。病院特有の項目というわけではありませんが、年季の入った大病院に利用されていることが多いと考えられます。
アスベストが利用されていると思しき建物を解体する際には、まず解体の前にアスベストの含有調査を行うことが必須となります。含有調査を行わなかった場合、解体中にアスベストが発見されて想定していなかった費用が加算されることも考えられます。
また実際に解体を行う際には、アスベスト除去の許可を得た業者に依頼することが必須となります。この際、アスベストの除去まで一括でできる業者はそう多くないため、アスベストの除去のみを別の業者に頼まなければならないケースもあります。
治療機器の撤去
上記の『診察台撤去処分』『レントゲン撤去処分』等に挙げられるような医療機器は、病院解体特有の項目です。
レントゲン機器等のポリ塩化ビフェニル(PCB)という有害物質が含まれる機器があった場合、アスベストと同様に専門業者に処分を依頼する必要があります。
廃棄物の処分を行う場合、血液や使用された注射針やメス、体液が付着したガーゼ等は『医療廃棄物』に区分され、自己で管理を行うか専門業者に処分してもらう必要があります。
他の残置物(解体の際に建物内に残っているもの)と同様に解体の際には病院内に残さず処分しておくのが一般的ですが、一般廃棄物とは処分方法が異なることを覚えておきましょう。
まとめ
病院の解体事情について解説させていただきました。
病院の解体では坪単価こそ他の建物と変わらないものの、アスベストや医療機器等が残っていた時に追加で費用が発生します。これから解体を考えている方は、見積りの際にそちらを重点的にチェックしてみてください。
また、既に見積りを一回行っている方で、「この記事と見積書で費用感がちょっと違うかも?」と感じた際は、相見積りをしてみるのも手です。
複数の業者から見積りをとって比較すれば、適切な価格で工事を終えられる可能性は向上します。
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