ご自宅やご実家にある井戸の埋め戻しを予定している方の中には、井戸の息抜きという言葉を初めて業者から聞いた方も多いのではないでしょうか?
井戸を埋め戻すということは、一生に何度も経験することではありませんので、「そもそも息抜きとは何なのか?」「本当にする必要があるのか?」と、いろいろと疑問が湧いてきますよね。
実は息抜きは、必ずするよう定められているわけではありません。しかし、古くから大切にされてきた風習のひとつですので、なるべく行ったほうがいいものです。
この記事では、そんな息抜きの概要や息抜きを行う際の流れについて解説しますので、井戸の埋め戻しをご予定している方は、ぜひ参考になさってください。
井戸の息抜きは工事前の風習
息抜きとは、塩化ビニール製のパイプ、もしくは節抜きした竹を、井戸の底から地面まで通すことを指します。
本来井戸があった場所に、息抜きのためのパイプが通されています。
なぜ息抜きをするのでしょうか?
それは、井戸を埋め戻したあとも、井戸に宿っている水神様が通り道として使ったり、呼吸をしたりできるようにするために、古くから風習として行っているからです。そのほか、井戸の内部に溜まっている湿気やガスを外に逃がすという実用的な役割も担っています。
井戸に神様が宿ると言われる理由
現代では蛇口をひねれば簡単に水が出てきますが、水道がない時代は、飲み水や農業用水として水の確保は死活問題でした。そのため、昔の人が懸命に井戸を掘って確保した水は、命の源だったと言えます。こうした背景もあり、水が集まる井戸は神聖な場所で、古来より神様が宿っているとして信仰の対象とされてきたのです。
お祓いとの違い
井戸を埋め戻す前には、息抜きとは別にお祓いもします。
お祓いは神道の宗教行為で、罪や穢れ、厄災などを取り除くための儀式です。解体工事においては、井戸の埋め戻し以外でもお祓いが行われるのが一般的です。
- 井戸祓:井戸を埋め戻すときの儀式
- 解体清祓(かいたいきよばらい):住宅を取り壊すときの儀式
- 樹木祓:木を伐採するときの儀式
- 地鎮祭(じちんさい):新たに家を建てるときの儀式
- 魂抜き:仏壇、神棚を処分または移動するときの儀式
- 魂入れ:仏壇、神棚を新しく購入したときの儀式
井戸を埋め戻すときには、井戸祓というお祓いをします。住宅の取り壊し工事を同時に行う場合には、解体清祓と同じタイミングで井戸祓も行います。
なお、お祓いも息抜きと同様、必ず行うよう定められているわけではありません。しかし、古来より水を恵んでくれた井戸の神様に感謝するという意味でも、お祓いをしたほうが清々しい気持ちで工事に臨めるでしょう。
また以下の記事では、それぞれのお祓いの費用(初穂料)についても解説しています。あわせてご覧になってみてください。
井戸の息抜きを行う流れ
次に、井戸の息抜きを行う際の流れについて確認していきましょう。基本的には、以下のような手順で息抜きやお祓いを進め、井戸を埋め戻していきます。
- お祓いをする
- 井戸に残っている水を汲み上げたり、ゴミを掃除したりする
- 息抜きを行う
- 井戸に砕石や砂を投入して埋め戻しをする
- 井戸の枠を撤去して整地する
1.お祓いをする
井戸の埋め戻し前には、まずお祓いをします。
お祓いは、前述の通り神道の宗教行為ですので、神社の神主さんに依頼して家の敷地内で行うのが通例です。
お祓いの形式や、お供え物を自分で用意する必要があるかどうか等は、それぞれの神社によって異なりますので、依頼する神社にご確認ください。また服装は普段着で構いませんが、あまりにもラフすぎる格好は避けましょう。
2.井戸に残っている水を汲み上げたり、ゴミを掃除したりする
ここからは解体業者の出番です。
井戸水が残っている場合は、底に溜まっている水を抜く作業が発生します。また、長年使われていない井戸にはゴミが溜まっていることも多いため、ゴミの撤去や井戸内部の清掃も行ってもらいます。
3.息抜きを行う
井戸が綺麗になったら、息抜きのために、塩化ビニール製のパイプまたは竹を井戸の底から地面の上まで通していきます。なお、息抜きに関しても解体業者が実施してくれますのでご安心ください。
4.井戸に砕石や砂を投入して埋め戻しをする
息抜きができたら、コンクリートから作られた再生砕石や再生砂を使って井戸を埋め戻していきます。
ただし、良質な砕石や砂を正しく投入しなければ、地下水の水質が悪化したり地盤が弱くなったりする原因になってしまいます。そのため、なるべく自分で埋め戻しをしようとはせず、一貫して解体業者にお任せしましょう。
5.井戸の枠を撤去して整地する
井戸に投入した砕石や砂が地面まで達したら、井戸の枠を撤去します。
最後に、井戸があった場所と周囲の土地を平らにならして、整地をして完成です。
整地後は、このように何もなくなった地面からパイプだけが出ている状態になります。
いつまで息抜きをしておくか明確な決まりはない
息抜きのためのパイプをいつまで残しておくかは、明確な決まりはありません。
そのため、もし他のご家族のご意向や、地域の習わしなどがあれば、そちらに従いましょう。また、実際にパイプを抜くにあたって不安があれば、神社の神主さんに相談して、事前に祈祷してもらうことも可能です。
まとめ
この記事では、井戸の息抜きの概要や、息抜きを行う場合の流れについて解説しました。なお、息抜きを含む井戸の埋め戻しに必要な費用については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
また、井戸の解体工事をご予定している方は「解体無料見積ガイド」の利用もぜひご検討ください。ご連絡いただくと、お住まいの地域の専任スタッフが窓口となり、井戸の解体工事を得意としている解体業者をご紹介させていただきます。利用にあたって費用は一切かかりませんので、ぜひご相談だけでもお待ちしております。