お家の敷地内にあるプレハブのお部屋や倉庫。撤去するならどれくらいの費用がかかるのでしょう?
この記事では、プレハブ小屋を解体した場合にかかる費用を実際の事例を元にご紹介します。
プレハブとは?
プレハブ工法のプレハブとは、pre-fabricatedの略称で、pre(事前に)fabricated(組み立てられた)という意味があります。
プレハブの建物の部品や骨組みは、事前に工場で組み立てられるため、建設現場での作業は骨組みにパネルをはめるだけで済むなど、工程が少なく済みます。
工場生産された安定した品質の建材で、建設現場ではほとんど組み立てるだけで完成できるのがプレハブ造建物の特徴です。
プレハブは種類によって解体費用が変動する
プレハブの解体費用は、建物のつくりや材質、解体にかかる手間、解体現場の周辺環境などによって違いが出ます。
プレハブ小屋にも材質の違い、つくりの違いがありますので、まずはプレハブの種類を理解した上で解体業者さんに見積りを依頼しましょう。
プレハブの種類
プレハブの建物は、躯体の素材によって木質系、鉄骨系、コンクリート系の3タイプに分類されます。
また、個々の部屋(ユニット)を工場で作り、現場ではクレーン車で下ろして設置するだけで完成してしまうものを「ユニット系」と呼びます。
ユニット系のプレハブ部屋は、いくつも連結させて住宅をつくることもできます。以下でプレハブの種類をそれぞれ見ていきましょう。
木質系プレハブ
工場で生産された木質パネルを現場で組み立て、「面」の力で建物を支える耐久性に優れた工法です。
パネルの内側に不燃建材の石膏ボードが使われることが多く、耐火性に優れています。
木質系プレハブの法定耐用年数は一般的な木造住宅と同じ15~24年です。
鉄骨系・鉄鋼系プレハブ
工場で軽量鉄骨の骨組みをつくり現場で組み立て、サイディングと呼ばれる外壁材を取り付ける工法です。
サイディングの素材は、金属製、木製、塩化ビニル樹脂製など様々です。
パネルが鉄骨のフレームに直接固定されることで全体が強化されるため、耐久性に優れています。
法定耐用年数は骨格材の肉厚によって異なり、15~38年です。
コンクリート系プレハブ
コンクリートパネルを工場で作成し、現場で組み立てる工法です。
壁・床・屋根など大部分がコンクリートでつくられているため、耐久性や耐火性に優れています。
法定耐用年数は、31~50年です。
ユニット系プレハブ
ユニット(箱型のフレームにセラミックなどのパネルを取り付けたもの)を工場でつくり、各ユニットを現場で組み立てるのがユニット系プレハブです。
キッチンセットや各居室など、各部屋の細かい建具や設備の設置も含め、ほぼ完成形までつくり込んでおくのが特徴です。
ユニットに用いる素材によって「木質系ユニット」「鉄骨系ユニット」などに分けられるため、耐久性や耐火性、耐用年数も素材に左右されます。
プレハブ小屋や倉庫の解体費用相場は地域ごとに違う
プレハブ解体は地域ごとに費用相場が違います。
以下の表は都道府県ごとの坪単価をまとめているので、解体するプレハブがどのくらいの坪単価になるか参考にしてください。
都道府県 | 状況別の坪単価の変動幅 |
---|---|
北海道 | 26,000~45,000円 |
青森県 | 22,000~45,000円 |
岩手県 | 24,000~45,000円 |
宮城県 | 26,000~52,000円 |
秋田県 | 28,000~48,000円 |
山形県 | 24,000~50,000円 |
福島県 | 23,000~48,000円 |
茨城県 | 25,000~48,000円 |
栃木県 | 26,000~54,000円 |
群馬県 | 23,000~45,000円 |
埼玉県 | 28,000~52,000円 |
千葉県 | 28,000~52,000円 |
東京都 | 30,000~65,000円 |
神奈川県 | 28,000~58,000円 |
新潟県 | 28,000~48,000円 |
富山県 | 28,000~55,000円 |
石川県 | 23,000~52,000円 |
福井県 | 23,000~55,000円 |
山梨県 | 28,000~55,000円 |
長野県 | 28,000~54,000円 |
岐阜県 | 23,000~50,000円 |
静岡県 | 25,000~50,000円 |
愛知県 | 23,000~48,000円 |
三重県 | 23,000~52,000円 |
滋賀県 | 26,000~52,000円 |
京都府 | 25,000~48,000円 |
大阪府 | 24,000~48,000円 |
兵庫県 | 26,000~52,000円 |
奈良県 | 24,000~48,000円 |
和歌山県 | 26,000~52,000円 |
鳥取県 | 28,000~62,000円 |
島根県 | 28,000~60,000円 |
岡山県 | 26,000~50,000円 |
広島県 | 23,000~48,000円 |
山口県 | 25,000~50,000円 |
徳島県 | 24,000~48,000円 |
香川県 | 24,000~48,000円 |
愛媛県 | 25,000~50,000円 |
高知県 | 24,000~42,000円 |
福岡県 | 23,000~42,000円 |
佐賀県 | 25,000~50,000円 |
長崎県 | 28,000~63,000円 |
熊本県 | 23,000~48,000円 |
大分県 | 23,000~48,000円 |
宮崎県 | 24,000~45,000円 |
鹿児島県 | 22,000~45,000円 |
沖縄県 | 25,000~50,000円 |
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プレハブ小屋の解体手順
プレハブ小屋の解体手順は以下のとおりです。
工事業者を選ぶ
はじめに工事を依頼する業者を探しましょう。数社の業者を比べたうえで、電話での見積り金額だけで判断せずに業者の対応を含めて判断することがポイントです。
近隣への挨拶
工事前に、近隣住民への挨拶を行います。工事により発生する騒音、振動、ほこり等による近隣トラブルを防ぐためです。挨拶は業者が行うことが一般的ですが、依頼主が同行するとより丁寧な印象を与えることができます。全ての近隣住民に漏れなく挨拶をするため、施工開始の10日〜1週間くらい前に挨拶まわりを始めましょう。
ライフラインの停止
工事の前に、電気、ガス、インターネットなどのライフラインの停止やケーブルなどの撤去の手続きが必要です。工事は建物だけではなく、設備の部分も撤去する必要があるためです。ライフライン停止の手続きは、工事施行の1週間前までには終えるようにしましょう。水道は工事中に使用するため停止しない場合があります。
プレハブ本体の解体
- 室内に残されたものを搬出する
- 屋根を撤去する
- 壁を撤去する
- 床面を撤去する
- 基礎を撤去する
プレハブの建物は、骨組みに個々のパネルをはめ込むように組まれています。解体作業はパネルを一つ一つ取り外すように行い、簡単なものであれば1日で解体工事は完了します。
地中物の確認と整地
工事終了後、地中にコンクリートや廃材、大きな石といった障害物が残っていないかを確認します。障害物を取り除いた後に土をならして平らな状態にする整地を行い、工事が完了します。
プレハブ撤去工事の見積書を見てみよう
解体工事はまず、解体する建物の現地調査をするところから始まります。
解体業者さんが建物の構造や大きさ、周辺環境などをくまなくチェックし、工事で出る廃棄物の量なども見込んで、工事の見積書を作成します。
ここからは、実際のプレハブ造建物の見積書を見てみましょう。
事例1 千葉県四街道市のプレハブ造家屋(12坪)
ユニット系のプレハブ小屋
事例1では、写真にあるユニット系のプレハブ小屋の他に、いくつか解体する建物がありました。プレハブ小屋の解体に関わる項目だけ抜き出してみましょう。
以上の項目を単純に足し合わせると、工事金額は42万3,108円です。
ただし、仮設養生費や諸経費などは、プレハブ小屋の他に解体する建物の分も含めての料金なので、実際はもう少し安くなります。
また、工事金額には最終的に消費税分が上乗せされて合計金額となるので、頭に入れておきましょう。
黄色で記した項目がプレハブ小屋本体のみの解体・処分費用で、計30万6,018円です。
その他の項目についても簡単に見てみましょう。
- 書類作成・提出代行
解体工事をする際は、自治体に各種届出をする必要があります。業者さんに代行をお願いすると費用がかかります。
- 仮設養生工
周囲に埃や騒音が漏れないよう、養生シートを張った場合にかかる料金です。
- 井戸ポンプ・埋設浄化槽
プレハブ小屋で水道を使っていた場合、井戸や浄化槽の撤去が必要です。
- 重機回送
工事で使用する重機は、道を自走できないのでトラックで現場まで運ばれます。現場まで行く分と、現場から引き上げる分で「2回」となっています。
- 諸経費
その他に細々とかかる費用を「諸経費」としてまとめてあります。
- 有価物
事例1の見積りでは、解体で出る鉄くずなどの中に、買い取ってもらえるものがあるとして、費用から差し引かれています。
事例1のプレハブ小屋はユニット系だったため、解体にかかる費用は比較的安く済んでいます。ただ、コンクリートブロックの基礎を撤去するのに10万円弱かかっていますね。
事例2 千葉県船橋市のプレハブ造建屋(9坪)
木質系のプレハブ倉庫
事例2のプレハブ小屋は、昔ながらの倉庫ですね。木質系プレハブの倉庫で、写真から布基礎で支えられている様子が見て取れます。
上の見積書はプレハブ小屋のみのものなので、税込みの合計金額がわかります。見積書の左上に59万8,000円と書かれていますね。
黄色で記した項目がプレハブ倉庫本体のみの解体・処分費用で、計14万7,474円です。
その他の項目については事例1と同じものが多いので、ここでは2点だけ確認しましょう。
- 室内外残置物
解体工事の現場に残っている不用品を「残置物」と呼びます。室内外にある不用品を撤去する場合、費用がかかります。
- 車両限定 特別割増
事例2では何らかの事情で、いつも使うものではない車両が使われたか、車両を使うためにスケジュール調整が必要になったようです。ごく稀にですが、このような割増料金が発生するケースがあります。疑問に思う項目があった場合は、必ず業者さんに確認しましょう。
事例2では基礎の撤去は行わなかったようです。
土間コンクリートを使用した基礎の撤去は、コンクリートブロックの撤去よりも大変です。解体・処分に20万円~費用がかかると見てよいでしょう。
プレハブ小屋や倉庫の解体費用がかさむのはどんなとき?
プレハブの建物も解体するにはそれなりの費用がかかりますね。
また、建物の条件によっては、さらに費用がかさんでしまうケースもあります。ここからは、解体工事において費用がかさむポイントについて見ていきましょう。
プレハブ小屋や倉庫に残置物がたくさんある
解体したい建物内に残置物がたくさんあると、事例2でも見たように、撤去・処分費用がプラスでかかります。
事例2では建物の外にも不用品がありました。「室内外残置物」の撤去・処分費用として14万円以上もかかっていますね。
事例2の室外にあった残置物プレハブ小屋や倉庫のつくりが頑丈
プレハブの建物は固定されている部分がうまく外れれば、比較的簡単に解体できます。
しかし、「普通はボルトで固定してある部分が釘で打ち付けてある」「頑丈な建材だったため、専用工具で切断しないとトラックに乗らない」など、つくりが頑丈だと解体に手間がかかります。
1日で終わる予定の工事が2日かかるなど、手間がかかるとその分人件費などがプラスでかかります。
プレハブ小屋や倉庫の基礎が頑丈
プレハブ造の建物は、簡易的なものであれば、コンクリートブロックの上に乗っていたり、基礎がないケースも多く見られます。
しかし鉄骨系やコンクリート系のプレハブ小屋などは、基礎にコンクリートが敷かれている場合もあります。頑丈な基礎の解体にも手間がかかるため、費用がかさみます。
プレハブ小屋や倉庫の周辺に十分なスペースがない
建物の解体工事をする際、ショベルカーなどの重機が使用できれば、手作業で壊していくよりも早く、人手も少なく済みます。しかし、プレハブ小屋は狭いスペースに建てられているケースが多いため、重機が入っていけません。
すると、手作業で解体し、発生した廃材を遠くに停めたトラックまで運ぶなど、手間がかかる作業が増え、費用がかさんでしまいます。
残置物の撤去にもそれなりの費用がかかるので、事前に処分しておくとよいでしょう。
特に捨てておくべきものは、衣服やシーツなどの布製品、食器や花瓶などの陶器類などです。
布製品や陶器類、また、倉庫の中身などの雑多な不用品は、解体業者さんが処分しようとすると費用が特に高額になってしまいます。
ただし、木片や鉄くずなどはリサイクルできるため、比較的安く処理できます。
そのため、中身が空っぽの木製の棚や金属の棚であれば、処分費用も安くなりますし、業者さんによってはサービスで引き取ってくれる場合もあります。
ですから、建物内の特に棚の中身などは極力捨てておくと解体費用の節約になるでしょう。
プレハブ小屋は自分で解体できる?
プレハブ小屋は「自分でも解体できるのでは?」と考える方も多いようです。
しかし、建物の連結している部分など、建物の構造に詳しくなければ、作業はとても大変でしょう。以下の業者さんの動画は解体手順がとてもわかりやすいので、ぜひご覧ください。
また、建物を壊したあとの廃材は、運ぶのにトラックが必要ですし、街中だと受け入れ先がなかなか見つかりません。プレハブ小屋の解体は、できれば業者さんにお願いしたほうが安心ですし、あっという間にキレイにしてもらえるでしょう。
自分でプレハブを解体する場合の準備物
プレハブを解体する前に、必要な道具を準備しましょう。
プレハブの大きさや種類によって、必要な道具は異なります。
ただし、少なくとも以下の道具は揃えておくとよいでしょう。
- ヘルメット
- 安全靴
- 作業着
- 軍手
- 防塵マスク、ゴーグル
- バール
- ハンマー
- チェーンソー
- 脚立
自分でプレハブを解体する場合の費用
6畳の木質系プレハブを自分で解体した場合、費用は7万円程度で済む場合が多いです。
費用の内訳 | 金額 |
---|---|
道具代 | 約3万円 |
処分費 | 約2~3万円 |
車両レンタル代 | 約1万円 |
自分でプレハブを解体する流れ
自分でプレハブを解体する際の流れは、以下のように進みます。
自分でプレハブを撤去する手順 | 手順の内訳 |
---|---|
近隣への挨拶 | ご自身でプレハブを撤去する場合でも、近隣住民の方へ挨拶を行いましょう。プレハブを撤去することで起こり得る影響を事前に説明しておくことで、後々のクレームを減らすことが出来ます。 |
屋根の撤去 | まずは、プレハブの屋根を外していきます。屋根の撤去では、屋根材を固定しているネジを外したり、設置部分をバールで剥がしたりといった作業が発生します。 |
壁の撤去 | 屋根が外れたら壁を撤去し、骨組みだけの状態にしていきます。続いて骨組みを撤去していきますが、上から順に外していきます。 |
床の撤去 | 壁や骨組みが全て撤去できたら、床を撤去していきます。バールを差し込んで剥がすか、ハンマーで叩いて壊します。 |
基礎の撤去 | コンクリートブロックなどの簡易的な基礎であれば、ハンマーで解体しましょう。ただし、土間コンクリートは「斫り」という作業を特殊な工具を用いて行うため、業者に依頼することをおすすめします。 |
自分でプレハブを解体する場合の注意点
自分でプレハブを解体する場合、いつくか注意点があります。
高所作業や危険な工具の使用が伴うプレハブ解体では、怪我のないよう安全に十分配慮しましょう。
また、解体するプレハブが建築基準法の適用となるかどうかも事前にチェックし、必要に応じて解体前には建設リサイクル法の届け出を、解体後には滅失登記を行いましょう。
プレハブにアスベストが使用されている場合は業者に解体を依頼をし、プレハブ解体で発生した廃棄物は適切な方法で処分しましょう。
プレハブ小屋や倉庫の解体についてのまとめ
プレハブの建物は、簡易的なものでもなかなかの解体費用がかかります。
また、見積り金額は解体業者さんごとに大きく違う場合もあるので、見積りは必ず複数社から取り、工事内容や費用を見比べ依頼する業者さんを決定しましょう。
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