使っていない空き家をお持ちの場合、「賃貸に出すか、それとも売却するべきか」「売るにしても一旦更地にした方が良いのだろうか」など、選択肢は色々考えられます。
ここでは、空き家を解体する場合の費用相場や、実際に解体した方の見積もり例などを詳しくご紹介していきます。
空き家の解体が初めてで知識があまりない、という方はぜひ参考にしてみてください。
空き家の解体費用相場
空き家の解体費用は、坪単価に延床面積を掛けて計算します。
なお、これまでに当協会を利用して解体工事をされた方たちのお見積りデータをもとに計算した構造別の平均坪単価および坪数は以下の通りです。
建物構造 | 平均坪単価 | 平均坪数 | 解体費用の相場 |
---|---|---|---|
木造 | 36,279円 | 34坪 | 1,233,486円 |
鉄骨造 | 41,319円 | 61坪 | 2,520,459円 |
RC造 | 62,993円 | 96坪 | 6,047,328円 |
例えば、一般的な木造34坪の空き家を解体する場合、費用の目安は約140万円~150万円ほどになります。
内訳としては、木造の平均坪単価36,279円に平均的な坪数34を掛けた金額が1,233,486万円、さらに解体費用とは別に掛かる養生費や重機の回送費などの諸経費がおよそ20~30万円という計算です。
空き家の解体費用が高くなる条件
空き家の解体では予想外に費用が高額になるケースが少なくありません。以下では、空き家の費用が高くなる主な条件について詳しく解説します。
雑草や樹木が繁茂して重機が入れない
長期間の管理不足により、敷地内や周辺に雑草や樹木が繁茂している空き家もあります。
このような状況では、解体工事に必要な重機やトラックが敷地内に入れなくなり、作業効率が低下します。
特に問題となるのは以下のような状況です。
- 庭木が無秩序に成長して車両の進入を妨げる
- 雑草が密集して地面の状態が確認できず、安全な重機の設置が困難になる
- 繁茂した植物の除去作業から始める必要があり、その分の人件費と時間が追加で必要になる
- 特に密集住宅地にある空き家では、隣家との境界線近くまで植物が広がり、解体作業の前に慎重な整備が必要になる
空き家の場合は荒廃した庭の整備費用も加算されるため、30〜50m²の庭でも5〜14万円程度の追加費用が発生することがあります。さらに大きな樹木の伐採と抜根には特殊な機材と技術が必要となり、これも解体費用を押し上げる要因になります。
アスベストが使われてるケースが多い
空き家、特に1970年代から1990年代前半に建てられた建物には、アスベスト(石綿)が含まれている建材が使用されていることがあります。アスベストは有害性が認められ1975年から段階的に規制が始まりましたが、全面禁止となったのは2006年と比較的最近のことです。
空き家特有の問題点は以下の通りです。
- 所有者が建築時の情報や図面が紛失していることが多く、アスベスト使用の有無が不明な場合がある
- レベル1(吹き付けアスベストなど飛散性の高いもの)の場合は1m²あたり15,000円〜85,000円の除去費用が発生する
- 長期間放置された空き家では、アスベスト含有建材が劣化して飛散リスクが高まっており、より慎重かつ高度な除去技術が必要になる
老朽化した建物は取り壊しが難しい
長年放置された空き家は、雨漏りや風雪の影響で建物の劣化が急速に進行していることが多く、解体作業においても特別な配慮が必要になります。そのため解体作業にかかるコストが通常の建物よりも多くなります。
老朽化した空き家の解体で特に問題となるのは以下の点です。
- 建物の構造が不安定なため、予測不能の崩落リスクがある
- 安全を確保するための特別な養生や補強作業が必要になる
- 壁や床が腐食していると作業員の足場が確保しづらく、通常より慎重な解体作業が求められる
- 老朽化による倒壊の危険性が高い場合、重機を使用せずに手作業での解体が必要になることがあり、人件費と工期が増加する
- 周囲の建物も同様に古い場合、解体振動による影響を最小限にするための特別な対策が必要になる
さらに、災害で一部が損壊した空き家の場合、廃材が分別しづらくなるため処理費用が高くなります。地震などの自然災害で破損・倒壊した場合は、廃材が周辺に飛散することがあり、回収と分別に手間がかかるため解体費用が通常より高くなる傾向にあります。
残置物が多く残っている
空き家には大量の残置物が残されている場合もあります。一般住宅の解体では居住者が事前に荷物を整理することが一般的ですが、空き家の場合は家財道具や不用品が手つかずのまま残されていることが少なくありません。
- 解体業者に残置物の処分を依頼すると「産業廃棄物」扱いになり、処分費用が高額になる
- 残置物の量が多いほど、処分費用も比例して増加する
- 空き家の残置物は長期間放置されているため劣化や破損が進んでおり、分別作業に手間がかかる
- 特に古い空き家には、大型の家具や電化製品など現代では処分に特別な手続きや費用が必要なものが残されていることがある
- 空き家所有者が遠方に住んでいる場合、残置物の確認や仕分け作業に立ち会えないことが多く、業者に一任せざるを得ない
自分で処分できるものは事前に処分しておくことで費用を抑えることができますが、所有者が高齢である場合や遺品整理に心理的負担がある場合は難しいことも多いです。残置物の量と種類によっては数十万円の追加費用が発生することもあり、空き家解体費用を大幅に押し上げる要因となります。
不法投棄や住み荒らしによる被害
管理が行き届いていない空き家は、不法投棄や不法侵入者による「住み荒らし」の被害に遭いやすく、これらも解体費用を高騰させる原因となります。
- 敷地内に投棄された廃棄物は所有者の責任で処分する必要があり、その量や種類によっては高額な処理費用が発生する
- 特に有害物質や危険物が投棄されている場合、特殊な処理方法が必要で費用が増大する
- 住み荒らしにより建物内部が損壊していると、解体時の安全確保のための追加措置が必要になる
- 不法侵入者による水道や電気設備の損壊があると、解体前の安全処理に追加費用がかかる
- 住み荒らしの結果として放火などの二次被害が発生すると、焼け焦げた部分の処理に特別な対応が必要になる
住み荒らしや不法投棄の被害を受けた空き家は、建物自体の劣化に加えて予期せぬ損傷や廃棄物が存在するため、解体業者側も事前の見積もりが難しく、工事開始後に追加費用が発生するリスクが高まります。 また、不法投棄された廃棄物の中に家電リサイクル法対象製品やフロンガス含有機器など、特別な処理が必要なものが含まれていると、さらに費用が膨らむことになります。
空き家の解体費用実例
空き家の解体費用は解体業者ごとに見積もりの金額が異なります。
ここでは当協会を利用して解体工事をされた方の実際の見積もりデータをご紹介します。
22坪の空き家解体費用(大阪府寝屋川市)
10年以上空き家になっており、老朽化がかなり進んでしまった木造住宅の解体です。家財道具や不用品なども多く残っており、撤去費用が追加で発生した事例です。
合計2社から見積りを取り、結果は以下のとおりでした。
A社 | 107万9,320円 |
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B社 | 143万円 |
35坪の空き家解体費用(大阪府泉大津市)
延べ床面積が35坪の一般的な木造の戸建て住宅の解体に伴う見積りです。
ご依頼いただいた時は、一部モルタルの外壁が剥がれていてシートで補強している状況でした。そのほかの外壁にもヒビが入っていて外観からも老朽化が進んでいるのは明らかでした。
合計3社から見積りを取り、結果は以下のとおりでした。
C社 | 250万1,000円 |
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D社 | 170万円 |
E社 | 209万円 |
空き家の解体で利用できる補助金・助成金
補助金・助成金の対象になる空き家は、基本的に1年以上の長期間に渡って使用されていない木造住宅です。耐震性に問題があり倒壊などの恐れがあったり、景観などを損ねて周囲に悪影響を及ぼしていたりする空き家が対象になります。
各行政では、増え続ける空き家による景観の悪化や犯罪の誘発リスクを軽減するため、除却費用を賄う助成金制度を設けています。当協会調べで解体費用の助成金を自治体ごとにまとめているので、解体工事予定地の市区町村に助成金制度があるか確認してみましょう。
解体無料見積ガイドの補助金サービス空き家の解体で利用できる補助金の例
補助金の名称は地域ごとに異なります。対象の空き家がある地域と「解体費用」「補助金」などのキーワードで調べてみましょう。
- 木造住宅解体工事費補助事業
- 老朽危険家屋解体工事補助金
- 危険廃屋解体撤去補助金
空き家の解体のご相談は解体無料見積ガイドへ
空き家の解体費用は一般的な30坪ほどの住宅でも100万円以上掛かります。
ただし、建物の状況によっては金額が異なるので、正しい見積もりを出すには現地調査が必要です。空き家の解体は老朽化が進んでいると、さらに費用が高くなる恐れがあるのでなるべく早めに検討しましょう。
解体無料見積ガイドでは、見積もりを出す際に適切な現地調査を行う解体業者を紹介できます。当協会のスタッフが現地調査に同行することも可能です(一部地域のみ)。
空き家問題の解決や活用についても無料でサポートします
自治体とも提携している空き家ワンストップ相談窓口です。
ご所有の建物が「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定された場合の対応についてサポートできます。
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