解体工事の手続きをする前に行うべき各種届出や準備とは?

解体工事って、費用が高くつくので、大変ですよね。

しかし、手続きの方法によっては、費用をグッと抑えることが可能です。

例えば、解体工事の手続きは、住宅メーカーにすべてお願いするより、自分で手配した方が金額が低く抑えられます。

そこで、この記事では、解体工事の手続きをする前に行うべき各種届出や準備について詳しく解説していきます。

解体工事の手続きは、費用をグッと抑えられるポイント

本記事が、費用を抑える参考に少しでもなったら幸いです。

損をしない解体工事業者の決定方法

まず、発注者が行う事前準備ですが、解体業者への見積り等と役所に届け出をする各種申請書があります。

1.解体業者探し

解体業者への概算見積りを行い、信頼してお願いできる業者を探します。3社程度、解体工事をお願いする業者に相見積りを行うとより信頼できる見積りになります。

2.現地調査

概算見積りを出してくれた業者と現場調査を行うことでより正確な費用を算出できます。

後のトラブル(発注した際の金額と実際にかかった金額の誤差など)になることもあるので、正確な見積りを出してもらうようにしましょう。

3.見積書の確認

現場調査で出された見積りをチェックします。

通常の見積りとそれ以外の別途オプション料金(解体工事を進めて初めてわかる費用、地中に埋没しているコンクリートブロックや浄化槽などの地中障害物)がどのくらいかかるかを細かく確認します。

不明な点があった場合、業者に遠慮せず聞いてみましょう。

4.解体業者決定

解体工事をお願いする業者を決定し、必要事項すべてをお願いします。業者との必要な契約書などをかわし発注します。解体業者が決定したところで、一息つきたいところですが、引き続き行う必要事項があります。

役所に届ける申請書や近隣への挨拶、ライフラインの停止など、いくつか事前にやっておくべきことがあります。これらを漏れなくやることで、金銭トラブルを含む、さまざまなトラブルを回避することができます。

解体工事を行う前に必要な各種届出と手続き

ご所有の住宅を解体するのに、その地域の自治体に届けを出す必要があります。諸手続きは以下の通りです。届け出義務は誰なのか、解体業者なのか施主なのか、チェックしておきましょう。解体工事前後は、荷造り等で時間に追われる時期ですので、事前に諸手続きの流れだけでも把握しておくとよいでしょう。

役所への各種書類申請

こちらは委任状という形で、解体工事業者にお願いすることができます。なお、建設リサイクル法の事前申請は工事日の7日前までです。依頼する解体業者さんは余裕を持って決めておきたいですね。

この建設リサイクル法は、書類の提出が義務付けられています。

未提出や届け出・手続きの不備などありましたら罰則規定がありますので気をつけてくださいね。

建設リサイクル法

建設リサイクル法(正式名称「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」)は、特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等を目的に、平成12年5月31日公布されました。

その主な内容は、次の3点です。
1.建築物等に使用されている建設資材に係る分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の義務付け
2.発注者又は自主施工者による工事の事前届出、元請業者からの発注者への書面による報告の義務付け
3.解体工事業者の登録制度や技術管理者による解体工事の監督

引用:東京都都市整備局

道路使用許可申請

解体工事は、資材の搬出等の関係で道路使用許可を申請する必要があります。道路使用許可申請は、作業者(解体工事業者)が提出することが義務付けられています。

道路交通法によると、交通の妨げとなる可能性のあるものを道路に置くことや、道路上の人や車などを損傷させるような危険な行為は禁止されています。しかし、作業や工事、お祭りなどの様に、「公益上、社会慣習上、道路の使用がやむを得ない」と認められるものについては、道路の使用申請書を提出することで、交通の妨げにならない範囲で利用が可能です。

第七十七条
次の各号のいずれかに該当する者は、それぞれ当該各号に掲げる行為について当該行為に係る場所を管轄する警察署長(以下この節において「所轄警察署長」という。)の許可(当該行為に係る場所が同一の公安委員会の管理に属する二以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの所轄警察署長の許可。以下この節において同じ。)を受けなければならない。

一.道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人

引用:道路交通法 第七十七条第一項

道路使用許可申請は、申請を義務付けられています。この手続きは、解体工事業者が有償で行うことが一般的です。

契約の際は、解体工事の契約の際に、以下の項目が書かれているかもしれません。

道路使用許可書申請費 〇〇円

このように、契約の内容に盛り込まれている場合もあります。ちなみに施主(解体工事依頼主)が、この申請書を提出するのも可能です。発注する前でしたら、値引きをする代わりにこちらの費用がサービスしてもらえる場合もありますので、交渉してみてください。

この道路使用許可申請ですが、自分で手配することも可能です。自分で行った場合、業者に委託するよりも金額は抑えられます。申請自体はそれほど難しいわけでもなく、道路使用許可申請書に必要事項を書くことでできます。

参考 道路使用許可の概要、申請手続等警察庁

電気、ガス等のライフラインの停止申請

解体工事前には、水道以外のライフラインのすべてを停止させる必要があります。電気、ガス、電話回線、インターネット回線などは、管轄の事務所、会社に依頼をします。

電話の際には、「解体工事をしますので、手続きを教えてください」とお伝えしましょう。その場で丁寧に説明や手続きをしていただけます。

水道の手続きに関して

水道は、解体業者が工事中に散水のために使用することがあります。止める手続きに関しては、解体業者と打ち合わせの上撤去の手続きを行ってください。

電化製品や粗大ごみの処分

解体工事の前には、電化製品や粗大ごみの処分も行いましょう。これらをあらかじめ処分しておくことで、追加料金等の発生を防ぐことが出来ます。家電やパソコンによって処分方法が違ってきますので、確認してください。

大型家電の回収処分の手続き方法

家電4品目といわれている、エヤコン・冷蔵庫・テレビ・洗濯機(衣類乾燥機を含む)など家電リサイクル法が対象となる機器に関しては、家電リサイクル券システムを利用して処分することになります。

購入した家電量販店へ連絡して処分を依頼するか、インターネットで「家電リサイクル 協力店 ○○市」というように検索してみて、お近くのお店に処分を依頼してください。

また近くにリサイクルショップがある場合は、引き取ってくれる場合もありますので確認してみてくださいね。

パソコンの回収処分の手続き方法

パソコンに関しては、資源有効利用促進法に基づく回収・リサイクルが必要です。PCリサイクルマークが付いているものに関しては、パソコンメーカーが無償で回収、リサイクルしてくれます。パソコン本体だけでなく、ディスプレイも対象になります。

キーボードやマウスなどの付属品は、メーカー出荷時に同梱されていたもののみ対象となります。

お問合せ窓口は、一般社団法人パソコン3R推進協会のページでメーカー窓口一覧を確認できます。

参考 一般社団法人 パソコン回収メーカー窓口一覧パソコン3R推進協会

申込み後、メーカーもしくは、パソコン3R推進協会より「エコゆうパック伝票」が郵送されてきます。ご自身で梱包し「エコゆうパック伝票」を貼付けて、郵便局に戸口集荷を申し込むか、お近くの郵便局で発送してください。

梱包の際は、発泡スチロールなどの緩衝材は入れないようにして下さい。また、重さが30kgを超える場合や3辺の長さ(縦、横、高さ)の合計が1.7mを超える場合は、郵便局からの発送はできません。直接メーカーに連絡するとよいでしょう。

浄化槽の汲み取り(中身の処理)依頼

浄化槽を使用している場合、解体業者に撤去して貰う必要があります

そのままでは解体業者も撤去することは出来ないので、浄化槽の汲み取り作業をあらかじめ業者に依頼して、きれいな状態にしておくことが必要です。各市区町村によって、浄化槽の扱いは変わってきますので、問い合わせてください。

汲み取り後の浄化槽であれば、解体業者が撤去することができるのでお願いしましょう。金額も大きさによって変動しますが、5~7人槽であれば、3万円~5万円程度の追加料金が相場です。しかし、この項目がなかったり、極端に金額が低い場合は、撤去ではなくその場に埋めてしまう砂埋め方式を採用する場合があります。

浄化槽の砂埋めは、廃棄物処理法違反とされ、処罰される可能性が高いため、撤去してもらうようにしてください。

解体工事業者から出されたお見積りも確認してみましょう。

近隣説明会

近隣の方へ、工事を行う旨の説明会を行います。解体工事を行う際(建設工事でも同じことが言えますが)近隣の方への配慮を行うことで、後々のトラブルを避けることができます。

説明会といっても、セミナールームなどで行うわけではなく、看板や標識で終わらせてしまうところもあるでしょう。また、文書を作成し、ポストに投函する方もいらっしゃるでしょう。しかし、長年お世話になっていることも考えるのであれば、1軒ずつ丁寧に挨拶しながら、文章を渡していくという形が、トラブル回避という観点で考えるとベターです。

近隣挨拶をする際は、解体工事を行う責任者と挨拶に行くのが好印象です。丁寧な挨拶を心がければ、クレームになりにくいということもあります。

また、市区町村によって違いますが、延べ床面積の合計によって、役所に届け出を出さなくてはならないケースもあります。

井戸の処理の検討

井戸の「解体・撤去」を行う際、注意するべきことがあります。古くからある井戸は、その先祖代々の生命を支えてきたもの。そのまま解体工事に入るより、地元の神社に相談し、お祓いをお願いするのがいいでしょう。感謝の気持ち伝えるということで、神社の方にお払いのお願いをするのが一般的です。

お祓いの手順を示していただいた後は、お祓いを実行します。

その後、解体工事業者にお願いするといいです。相見積りを選んだところから、どういった工事のプランを示してくれるのか、より丁寧で具体的な説明をしてくれる解体業者がいいでしょう。

解体工事後の必要な届出と手続き

ご所有の住宅を解体した後も、役所に提出する手続きがあります。事前に流れを把握しておき、業者に委託するのか、自分で行うのかを決めておきましょう。

建物滅失登記申請

建物を解体したら、1ヶ月以内に滅失登記を行いましょう。建物滅失とは、なじみのない言葉ですが、建物がなくなることを指します。災害によってなくなった場合でも、建物滅失登記申請は必要になります。法務局に手続きを行うことで、建物の登記簿を一度なくす手続きのことです。

誰がいつまで?どこへ?

土地家屋調査士に依頼し、解体後1ヶ月以内に法務局へ届けましょう。

誰が手続きをする?かかる費用は?

施主もしくは司法書士、もしくは土地家屋調査士が代行した場合、3〜5万かかります。

手続でコストダウンを行う方法

この項目では、自分で手続きを行う方法をご紹介します。

建物滅失登記の届け出を依頼せず、自分で行いましょう。

建物滅失登記の提出書類

提出書類は下記の通りです。
提出書類
  • 登記申請書(法務局にて入手)
  • 取毀し(とりこわし)証明書(解体業者から発行してもらいます)
  • 解体業者の印鑑証明書及び資格証明書か商業登記簿謄本(管轄する法務局にて要確認)
  • 現場周辺がわかる住宅地図
  • 申請書の写し
  • 土地家屋調査士に依頼するときには委任状と依頼人の印鑑証明書

道路使用許可申請の届け出を依頼せず、自分で行う

解体工事を行う前に、ご自身で申請することも可能です。解体業者に依頼せず、手間を省く事で少しでも費用を抑えることができる可能性もあります。ただし、初めて申請することで書類等の取り直しで時間がかかることも考えられます。

道路使用許可申請の提出書類

提出書類
  • 道路使用許可申請書(道路を管轄する警察署にて入手できます)
  • 使用する道路の地図や範囲(地図帳やWEBから利用)
  • 現場見取り図
  • 申請料

提出方法と諸注意

提出方法と諸注意

1から4の提出書類(大きさは全てA4サイズ)を重ねて、左上ホチキスで止めて提出してください。書類記入の際は、直接パソコンにて入力するか、黒インク、ボールペンにて記入してください。鉛筆は使用できません。申請書を郵送する際は、書留郵便として送付してください。

もし、届け出書類に不備があったら、どうなるの?

ここでは、届けて書類に不備があった場合、どうなるのかをご紹介します。

建設リサイクル法の届け出を怠った場合

届け出を怠った場合は、最大20万円の罰金が課せられます。

対策

罰則20万ということになり、不安になる方もいらっしゃいますが、突然罰金20万の請求書が突然届くわけではありません。届け出の漏れが役所にて発覚すると、通達が施主に送られます。その通達に従わなかった場合、是正勧告があり、それにも応じなかった場合に、罰則となります。速やかに手続きを行えば、何も問題はありません。

建物滅失登記の届け出を怠った場合

届け出を怠った場合は、最大10万円の罰金が課せられます。

対策

届け出を怠ったことによって、余計な固定資産税までも払うことになってしまいます。そうなると、住宅ローン審査に影響が出てしまうことも。もし届け出を怠ってしまった場合、速やかに修正の届け出を行いましょう。

解体工事の手続きについてのまとめ

解体工事の手続き前に施主がやるべきことは沢山あります。解体工事業者に相見積りをお願いして業者を決定するだけでなく、不要品の処分(粗大ごみや電化製品など)や電気、ガス、インターネット回線、電話回線等の停止、浄化槽の汲み取りなど、近隣の挨拶など、さまざまです。

解体工事業者や近隣住民へのトラブルを避けるためにも、一つひとつやるべきことを明確化し、実行することをおすすめします。

最初は難しいと思うかもしれませんが、一つひとつ丁寧に行っていくとそれほど難しくないので、本記事を確認しながら進めてみてくださいね。

著者情報

解体無料見積ガイド

解体無料見積ガイド編集部

「解体無料見積ガイド」は、人生の中で何度も経験しない解体工事を題材に、独自のコンテンツを発信するオウンドメディアです。2011年の創業以来、10年以上に渡るサービス運営経験の中で培った解体工事に関するノウハウを凝縮し、解体工事を行うすべての方が安心して安全に工事を終えられるよう、役立つコンテンツを作成しています。

また解体無料見積ガイドは情報提供に留まらず、独自の13の審査基準で全国の解体業者を審査し、全国の解体業者約75,000社から厳しい審査基準をクリアしたトップ1.3%(約1,000社)の優良業者と提携しています。

監修

中野達也

中野達也

一般社団法人あんしん解体業者認定協会 理事
解体工事業登録技術管理者
公益社団法人 日本建築家協会(JIA)研究会員
一般社団法人東京都建築士事務所協会 世田谷支部会員

日本全国の解体業者約1,000社超と提携し、数多くの建物解体工事に関与。自身でも解体工事業登録技術管理者としての8年間の実務経歴を持つ。解体工事の専門家として、テレビ番組をはじめとする多数メディアに出演。これまでに一般家屋はもちろん、マンション・ビルなど様々な建物の解体工事に従事し、解体工事を行いたい施主、工事を行う業者の双方に精通。全国の提携パートナーと共に、解体工事をとりまく様々な問題に日々取り組んでいる。

出演メディア
ひるおび!(TBS系列)、情報ライブ ミヤネ屋(日本テレビ系列)、バイキングmore(フジテレビ系列)、他多数...

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