解体工事を行いたいと思ったら、解体工事業者に依頼することになります。解体工事は、どのように計画を立てれば良いのか、いつ、何をしないといけないのかを知っておく必要があります。
なぜならば、新築工事を計画している場合や、売却の引き渡し期限が決められている場合など、解体工事に関わるスケジュールを把握しておかないと、「期限に間に合わない!」なんてトラブルも考えられるからです。
以下の点を工事契約から工事完了までのスケジュールから見ていきます。
- いつ見積りを取ればいいのか?
- いつまでに契約をすればいいのか?
- 工事は何日かかるのか?
工事はどの程度の日数がかかるのか?を把握しておくことは、解体工事費用を安くすることにもつながります。
期間に余裕がないと、解体工事業者の選択肢も狭くなり、高額でも仕方なく工事を依頼するような状況になってしまうからです。
工事契約から工事完了までの期間
木造の建物の場合、解体業者と契約したあとの流れや、どの程度の日数がかかるかをみていきます。
【工事着工7日前】~【工事着工日】
1.必要な届け出を行い解体現場に「事前周知の標識」を設置
延床面積24坪以上の建物に限りますが、工事着工日の一週間前までに、自治体に「リサイクル法の届け出」と、解体現場に工事計画についての「事前周知の標識」を設置する必要があります。
そのため、工事着工日の一週間以上前には解体業者と契約を結び、解体業者が「リサイクル法の届け出」と「事前周知の標識の設置」を行ないます。
つまり、解体工事の契約の最終ラインは、「リサイクル法の届け出」と「事前周知」の申請日(※工事着工の一週間前)が期限となります。
基本的に、解体業者が行うことですが、稀に対応して頂けない解体業者もいるので、念のため事前に確認を取っておきましょう。
※自治体によっては、「面積に関わらず全ての建物が対象」、「木造以外の建物は14日前までに届け出が必要」など条例に差があるため、解体工事業者及び自治体に事前に確認を取り、契約までの猶予を把握しておくと安心です(インターネットで検索する際、「〇〇県〇〇市_事前周知」と検索すると、自治体のページが出てきます)。
2.ライフラインの撤去
解体工事の着工前に、「電気」と「ガス」の解約手続きが必要です。施主様ご自身が、お電話にて解約手続きを行います。
電線や配管の撤去が必要な場合がありますので、解体業者と相談し解約手続きを行うとスムーズです。
解体業者が行う場合は、同意書の手配などが必要になりますので、施主様が行った方が手間も費用も掛かりません。
「水道」に関しては、工事中の散水に使用するので、解約せずそのままの状態で残しておきましょう。
3.近隣挨拶
「リサイクル法の届け出」と「事前周知の標識の設置」を行ったあと、平行して工事着工の3日前には、「近隣挨拶」を行います。
解体工事業者だけに任せるのではなく、出来る限り施主様も同伴で行った方が、工事中のクレームは少なくなります。
いつ頃、騒音や振動が出るかなど、解体業者に説明をしてもらうようにすると、近隣の住民の方により理解していただけると思います。
近隣挨拶に持っていく「挨拶状」と「粗品」は、基本的に解体業者が用意します。見積りの際に、近隣挨拶用の粗品の費用が含まれているか確認しましょう。
【工事着工日】
1.足場の設置
工事着工日初日は、足場の設置を行います。工事を進めていくうえで、とても重要な設備であるため、しっかりと組立を行います。
近年では、突風により足場が倒れる等の事故も多発しているため、足場の組み方や養生の貼り方など、十分な注意が必要です。
2.室内の家財道具の撤去
室内にある家財道具は、建物を取り壊す前に撤去を行います。
家具や食器など、細かく分別する必要があるため、作業員が手作業で行います。
施主様が事前に撤去しておくと、この作業分の費用が削減できるため、コストを抑える際にはオススメです。
※立地によっては、重機や車両の搬入ができない場合、手作業でブロック塀を撤去し、搬入口を作ることもあります。
工事着工の初日~2日目は下準備として作業がメインとなります。
【工事2日目】
1.屋根の瓦撤去
建物の解体工事に向けて、重機を使用する下準備を行います。基本的に、解体工事は上から順番に壊していくため、屋根から撤去していきます。
屋根瓦は分別が必要なため、足場ができた後、手作業で降ろしていきます。壊さず綺麗な状態の瓦は、買い取りをしてくれる業者もいます。
ただ、その分の手間が掛かるので、人件費と比較して解体業者に相談してみてもよいでしょう。
2.内装の撤去
内装の設置物の撤去を行います。壁材やお風呂やトイレなど、木製品以外の物を事前に撤去し、分別の手間を減らしていきます。
工事の初日~2日目は人力、3日目以降は重機を使用した作業に移ります。
3.庭木や外構の撤去
建物以外に、ブロック塀や庭木・庭石の撤去なども事前に行います。建物以外のものを先に撤去しておくことで、重機の使用範囲を広げ効率を上げます。
【工事3日目~5日目】
1.重機解体・積み込み・搬出
3日目以降は、重機による解体作業になります。建物を重機で壊し、廃材をトラックに積み込み、その都度処分場に持ち込みます。
基本的には、この作業の繰り返しで、解体工事が進んでいきます。粉塵が舞う作業なので、散水をしながら近隣にご迷惑をお掛けしないよう気をつけて行います。
事前に壁材や瓦などを分別していない場合、瓦礫の中から分別をする事になるので、余計な労力がかかってしまいます。
効率よく工事を行わないと、余計な工事日数や人件費がかかってしまうため、工事工程の組み立てが、工事費用の差に出てきます。
2.分別
処分場によっては、釘やタイルなど、細かな分別が必要な場合があるため、重機で壊しつつ、作業員が手作業で分別をすることもあります。
廃材を持ち込む処分場の処理能力も工事費用を左右しますので、利用する処分場を把握しておくことも大切です。
【工事6日目】
1.建物基礎の撤去
建物自体(上物)を撤去すると、建物を支えていた基礎コンクリートが出てきます。こちらは、重機(ブレイカーなど)で徐々に崩しながら撤去していきます。
解体工事の中で最も振動が発生する作業です。基礎コンクリートが厚いほど、日数がかかるため、布基礎とベタコンでは、日数と価格が変わります。
追加費用の原因にもなりますので、見積り時には事前に伝えておく必要があります。
2.地中埋設物の撤去
基礎コンクリートがなくなると、地中埋設物の撤去が出来ます。一般的なものが、浄化槽です。
コンクリート製なので、基礎コンクリートと一緒に処分します。この時に、水道管の撤去なども行います。
水道局に確認し、水道管をどこまで撤去するかを確認する必要がございます(一般的には、メーターまで)。
【工事7日目】
1.整地
建物と基礎の撤去が終わったら、土地を平に整地する作業を行います。重機で均す作業です。
施主様の希望次第では、砕石や真砂土(綺麗な土)を敷いて見た目を良くする方法もあります。また、更地のまま長期間放置する場合は、雑草対策で、防草シートや除草剤を撒くこともあります。
解体業者にお願いすれば、簡易的な囲いを設置してくれますので、防犯用に依頼する方も多くいらっしゃいます。
2.盛土・残土処分
土地によっては、道路よりも土地が高かったり、低かったりします。
GL(グランドライン)と言いますが、こちらの調整のため土を補充したり、または余分な土を処分する作業も整地の際に行います。
3.掃除
全作業が終わったら、前面や近隣の掃除を行って工事完了です。近隣へご迷惑を掛けずスッキリ終わるよう、最後の掃除は入念に行います。
【工事完了後1~7日目】
1.現地の確認
整地がされてない場所や、撤去物が残っている場合など、新築や売却に影響が出ますので、遠慮せずに解体業者へ伝えましょう。
特に問題がなければ、工事の完了となります。
2.取壊証明書の取得
解体工事が終わった後、滅失登記の申請が必要になります。
その申請に必要な「取壊証明書」「解体業者の印鑑証明」「解体業者の登記簿謄本」を解体業者から取得します。滅失登記を完了し、晴れて解体工事の終了となります。
解体工事全体の流れとかかる時間についてのまとめ
新築工事を計画している場合や、売却の引き渡し期限が決められている場合などは、期限に間に合わせるために解体工事に関わるスケジュールを把握しておく必要があります。
期限に余裕が無いと、相見積りができない、十分な話し合いや交渉をせずに、依頼せざるをえない状況になってしまいます。
そうすると業者の選択肢が狭くなり、しかも高額になることにもつながりますので、余裕をもって行いましょう。
工事着工前、工事期間、工事完了後までの解体工事契約から完了までにかかる時間は、木造30坪の住宅で、平均21日間です。
しかし、自治体によっては「リサイクル法の届け出」や「事前周知」の申請日、重機や車両の搬入ができない立地の場合や、建物の大きさ等の条件により変動することもあります。下調べや余裕を持つことも大切です。